"> 解明Polka ふっかーつ 忍者ブログ
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某歌ロイドにはまった人がちまちま書いているようです。ブログ名で好きCPがわかる罠

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すっかりお待たせいたしました。お陰さまで熱も下がりまして全快の管理人です。
下の記事なんかにわざわざ拍手してくださったりコメントくださったりした方、本当にご心配おかけしてすみませんでした。ありがとうございます。

ここ数日具合が悪いのと忙しいのとで相まって、ほっとんどパソコンに触れていなかったので、もう色々な萌え成分が不足しています。これを打っている今も凄くうずうずしています。うずうずうずうず。
これ、ちゃんと記事書いたら色々補給しに行ってきます! ひゃっふう!

という訳で遅れてきたいい夫婦ネタです。
えーと、ぽるかで、でもいつものぽるかさん達とは違う人です。

以下設定ですけれど、ぶっちゃけボカロのぽるかが結婚して10年ちょいの夫婦な感じなんだなと思っていただければ、それで読めると思います。

PC内設定で、マスターも居ます。PC内には2人しか居ません。昔はグミちゃんも一緒でしたが、今は別の(マスターの兄弟の)PCに移っています。
ルカを除く栗布団組はお隣(マスターの友人のPC)に住んでいます。この人たちも、いつものボカロさん達とは違う人です。
ぽるかは最初から同じPCにインストールされていて、お互い割と一目惚れでしたがなかなかくっつきませんでした。ルカさんは割とクーデレさん(になってるといいな…)で料理苦手です。がくぽは割と変態マイペースでお莫迦な読めない人です。
紆余曲折を経てくっつきます。お互い告白は相手からだと思い込んでいます。
夫婦、と呼ばれるのは、ルカさんがクールすぎるのとがくぽが変態マイペースすぎるのとで、傍から見ると恋人には到底見えないけれど、その実ラブラブだから(双子命名)です。
更にそれを知ったぽるかグミのマスターが、ふざけ半分でがくぽを唆してプロポーズさせ、更に更にお隣さん組がそれを知って、小さな結婚式を開いたりもしました。
そんな感じです。
あと、何か知らんけど10年と少し経ってます。
現実的にどうなのかとか、少し考えたけれど辻褄合わせとか面d難しそうだったので、まあ深く考えずそういうことにして置いて下さい(←


……とまあ、設定はありますが殆どぽるかしか出てきません。

特にラブラブしているわけでもなくうまく締められなくて無理やり閉じた感満載の(しかも設定が無茶な)お話ですが、それでもいいよっていう方は、設定を読んだ方もそうでない方も、続きからどうぞ。




ただいま、という言葉と共に、玄関の引き戸を勢いよく開く。
日が落ちるのもだいぶ早くなり、すっかり寒くなった外気とは正反対に、人の温もりが感じられる我が家の空気が、温かくがくぽを出迎えた。
普段ならば、出迎えの為に家の奥からわざわざ顔を出してくれる桜色の人影は今日は見当たらず、かわりに台所からとんとんとん、と何かを刻む包丁の音が聞こえてくる。
出迎えがないのは確かに寂しい。けれどその包丁の音は、その寂しさを補って余りある出迎えなのだ。


長い時間を


「おかえりなさい」

居間の戸を引くと、涼やかな声ががくぽの耳に届いた。丁度がくぽのいる位置に背を向けるように調理台に向かうルカには、振り向こうという気は微塵もない。正確に言うならば、振り向くだけの余裕など微塵もない。
それがわかっているから、がくぽもルカの顔が見られないことは気にしない。気にしないけれど、後で散々可愛がろうとは決心する。

家事は2人で分担しているから、いつも手が空いているほうが食事の支度をする。掃除や買い物も皆そうだ。ただし洗濯だけは、がくぽがやろうとする度に、ルカが全力で阻止してくるのだが。
ルカの料理の腕が苦手という言葉では済まされないほどだった頃は、がくぽが料理を一手に引き受けていたからそれでおあいこということでがくぽも納得していた。けれど段々とルカはがくぽの指導のもとに料理の腕をあげ、やがては1人で何とか一食作れるようになり、食事の支度も分担されるようになった。
それなのに洗濯だけはさせてもらえないがくぽは、度々ルカにその理由を訊ねるのだが、回答はいつも一言、「馬鹿ですか」で済まされていた。
その裏に秘められた乙女心とがくぽに対する不信に、がくぽは未だ気付けていない。

一旦居間を出て、楽譜やら何やらの入った鞄を置いたがくぽが居間に返ってくる頃には、食卓の上にはずらりと料理が並んでいた。ほかほかと湯気を立てて並んでいるおかずはことごとく茄子料理で、その事実にがくぽは笑みを禁じ得ない。
2人分のご飯茶碗をそっと食卓に並べ、一足先にに席に着いたルカは、居間の入り口でにやにやとだらしなく笑っているがくぽに目を留め、呆れたように声をかけた。

「何がそんなに可笑しいのですか」
「いやぁ、ルカの作る夕餉はいつも愛にあふれているなと思ってだな」
「気持ち悪いことを言っていないでさっさと席について下さい」

辛辣なルカの台詞も意に介さず、がくぽは逸らされてしまった視線を追うようにルカの傍に寄り、そっと背後から抱きしめた。その瞬間腹に入った肘鉄に、思わず呻きそうになるのはぐっとこらえる。

「……愛する人の抱擁に、その仕打ちは無いんじゃないかな、ルカ」
「ご飯が冷めます。馬鹿なことを言っていないでさっさと席に着いたらどうですか」
「いやでももう少しルカを味わっていたい、」
「もう一発欲しいというのなら喜んで差し上げますが」
「それは流石にご免だ」

渋々と抱擁を解いて、ルカの向かいの席に着いたがくぽは、いただきます、の言葉と共に大人しく食事を始める。ルカもそれにあわせて箸を取ったが、その手はそれ以上動くことはせず、かわりに空色の瞳が微かな緊張を湛えてがくぽの手の動きを追った。

「……うむ、うまい」

がくぽが最初の一口を嚥下し、そう言ってルカに笑いかけると、ようやくルカも顔を綻ばせ、料理に手を伸ばした。
ルカが料理を作ったときはいつもそうなのだ。それから自分でも料理を食べてみて、やはりいつも、僅かに首をかしげる。

「……あの、いつも思うのですけれど」
「ん?」
「わたくしの料理、本当においしいですか?」

問われたがくぽが何の冗談かとルカを見返せば、随分と真剣な光を宿した瞳とかちあった。
それだけで、ルカの問いが真剣なのだと、がくぽには判った。判ったが、それがひどく可愛らしく思えて、思わず笑みをこぼしてしまう。
ルカから顔を背けはしたものの、笑いを堪えようともせずに肩を震わせるがくぽに、ルカは心外だというように、とびきり冷たい声で問いを重ねた。

「何です、人が真剣に聞いているのに」
「いや、何だ、つまりだな」
「一言でお願いします」
「ルカは可愛いなあと思って」

振り返ってそう言ったがくぽの言葉に反論しようと、ルカの喉元まで出かかっていた言葉は、がくぽの顔を見た瞬間に引っ込めざるを得なかった。
寧ろ、予想外に優しく細められていた碧眼と柔らかな笑みに、今度はルカが顔を背ける番だった。

普段のだらしない笑みや変態めいた表情とは一線を画す、がくぽの普通な表情に弱いのだと、ルカはこういう時に思い知らされる。ルカにとっては悔しいので、直接がくぽにそのことを告げたことは無かった。
しかしうすうす感づいてはいるだろうというのは、お互い何となく察していることでもあった。

背けられてしまったルカの顔を惜しむように、がくぽは神妙な面持ちでじっとその後頭部を見つめた。
けれど、桜色の髪の合間から覗く耳が、周囲の色にも負けないほど紅く染まっていることに気付いた時には、その表情は跡形もなく崩れ去り、再びにやにや笑ってしまうのを禁じ得なかった。例えばその表情の変化が、ルカの失望感を煽っているのだということを薄々感づいてはいても、その変化はがくぽにとっては不可抗力なのだ。

「ルカの料理はいつも愛にあふれているのだから、うまいに決まっている」
「またご冗談を」
「ああ、うむ。そうだったな、いつも拙者への愛にあふれているのだったな」

未だがくぽの方が料理が上手いことは事実。世間一般的に見て、ルカの料理の腕がそこまで達者でないことも事実。
けれど、ルカが作ってくれる料理こそが、がくぽにとっては世界一の料理なのだ。
更にがくぽの好物である茄子料理の腕前ばかりがめきめきと上がっていくのを、自らの舌をもって知っているのだから、それに勝るものはない。
食事の手を止め、わざわざ腕まで組んで1人満足げに頷くがくぽに、ルカはちらりと視線を流すと、溜め息と共に言葉を紡いだ。

「……料理だけでは、ないのですけれど」
「む?」

敏感にルカの言葉に反応し、がくぽはきょとんとした表情で言葉の先を待つ。
その反応に、ルカは再び呆れたような視線を向けた後、誤魔化す様におかずに手を伸ばしながら口を開た。

「わたくしが貴方への、あ、あいを込めているのは、何も料理だけではないのです、と!」

それからさっさと口に茄子を放り込み、りんご顔負けの真っ赤な表情で口を動かすルカに、がくぽは一瞬固まって、僅かに頬に朱を乗せた。
何と言う言葉を返すか咄嗟に考えきれずに、思わず脳裏で呟いた言葉がそのまま口を衝いて出た。

「ルカ、そんなに急いで食べなくても、拙者は逃げないぞ……」

予想外の言葉をかけられ、ルカは盛大にむせた。
がくぽ自身も、自分の口から出た言葉に一瞬は唖然としたものの、寧ろルカが反応してくれたことに何となく嬉しくなって、心の内に一瞬前の自分にぐっと親指を立てた。こうなってしまえば、例えルカから侮蔑をこめた冷たい瞳で睨まれても、がくぽは痛くも痒くもない。

「あ、あなたって人は……!!」
「反応するルカもルカだぞ。一昔前のお前なら意味がわからずに首を傾げただろうに」
「誰のせいだと!」
「ああ拙者のせいだな」
「自重してくださいこの変態」
「拙者が変態なのはルカに対してだけだ」
「嫌いになってもいいですか」
「うむ、安心しろ。拙者のお陰でルカが変態になる分には、大歓迎である故」
「日本語でお願いします」
「お前は何がそんなに気にくわないのだ?」
「ggrks!」

言葉を重ねるごとに次第に頬を上気させ、ぷるぷると身を震わせているいるルカに、薄らと潤んだ瞳で睨みあげられて、がくぽは満足げに笑った。正確には、本人はそうしたつもりだったが、実際にはいかにも良からぬことを考えていそうな顔でにやにやしていた。

「全くもって惜しいものだ。拙者との間を隔てるこの食卓さえなければ、今すぐにでもお前を抱きしめてやるのに」
「今が食事中で本当に良かったです」
「抱きしめたら、まずその煩い口を塞いでやる。もちろん深い方d」
「妄想は脳内でやってください」
「接吻の後のルカは可愛いのだぞ? 苦しくなって縋りついてくる姿など堪らん」

口を閉じる気配のないがくぽを、ルカはどうしたものかと無言で睨みつけていたが、ふと思い立ったように口を開いた。

「ああそう言えば、いいお酒があったような。このくらいの時間なら、メイコさんのところに伺ってもいいでしょうかね」
「すみませんこちらが悪うございましたそれだけは勘弁して下さい」
「判ったのならよろしい」

一気に大人しくなったがくぽに、ルカは口元を引き結んだまま1つ頷いた後、何事もなかった様に食事を再開した。
がくぽは暫くその様子を窺っていたものの、結局ルカに倣って大人しく食事にもどった。その胸の内でひっそりと、後で、お隣を伺うのも躊躇われる時間になってから、もう一度しかけようという決心がなされていた。……のは、ルカにも筒抜けなのはずっと前から承知していたが、それでも口を挟んでこないのが、何だかんだ愛されている証拠なのだとがくぽは認識している。

「……あとで」

後で頑張ろう、後で、と自身に言い聞かせていたがくぽは、またしても口を衝いて出ていたのかとハッとルカを見返した。
しかし、気恥かしそうに視線をそらすルカからは、そういった気配は感じられなかった。
寧ろその様子に、がくぽの中でむくむくと膨れ上がったその感情は、期待感、というやつだ。

「時と場をわきまえてなら、わたくしだって、望まないわけではないのですから」
「ルカ」
「そうでなければ、こんなに長い時間をあなたと共に過ごせるわけ、ないでしょう」

そう言って、ルカはふふ、とはにかんだ。
こうして、素直に言われてしまえば、がくぽだって、へたな言葉は返せなくなってしまう。

何だかんだ、長い時間を共に過ごしてきたわけで。きっとこれからも、何だかんだで長い時間を共に過ごしていくのだろう。




◇ ◇ ◇

以下、ちょっとおまけです。何と言うか、ぽるかでちょっとカイメイもありで蛇足です。
よろしければ、お手数ですが反転してご覧ください。


2人で食卓を片付けていたとき、ふと思い出したようにルカが口を開いた。

「そういえば、あなたはどうしてわたくしがお酒をたしなむのを嫌がるのです?」
「またそれか」
「だって、あなたはともかく、誰も教えて下さらないのですから」

メイコさんですら、答えてはくれないのですよ、とむくれるルカに、がくぽはわかりやすい作り笑いを顔に張り付け、心の中だけで溜め息をついた。

「お前は知らなくていい。とにかく、冗談抜きでな、飲むときは」
「あなたと同じ席で、でしょう? わかっています」
「本当にそれだけは頼む……」
「あなたが不誠実な態度を取らない限りは」

理由を聞いては断られるのは、ルカの中では半ば当然のことになっていたので、ルカはそれきり追求を止め、大人しくまた手を動かすことに専念する。
そんなルカの様子を見ながらがくぽは安堵と不安の入り混じった息をついた。

ルカは以上にお酒に弱い上に、酔った時にはいつものクールさが嘘であるかのように陽気で奔放な、ある意味最強のデレを発動する。
やりたい放題やった上で、記憶をしっかり飛ばしてしまうから、ルカ自身は何をしたかはさっぱり覚えていない。その惨事の爪痕だけが、被害者(おもにがくぽとカイト)の記憶にくっきりと刻まれるのである。

ちなみにメイコも程度は低いものの似たようなものであるから、彼女にルカ(と彼女自身)が飲むのを止められる理由は教えられるわけがない。
2人きりの時ならば、それも可愛いことこの上ないのだが、というのは、がくぽとカイトで酒を酌み交わす時の、お約束の惚気である。

彼女達を極力酔わせない、というのは仲間内での暗黙の了解なのだ。

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