"> 解明Polka お布団入り 忍者ブログ
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某歌ロイドにはまった人がちまちま書いているようです。ブログ名で好きCPがわかる罠

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とりあえず一曲ご紹介

この曲はもっと伸びるべきだと思うんだ!
という訳で、流れている※を見てきがついたら書いちゃってた小話をお送りします。

カイメイでもぽルカでもなく家族もの。がくぽ涙目ww
前置きが長いですが、どうにかして年長組に子守唄を歌わせようとした結果がこれだよw

と言う訳で、本編は続きからどうぞ



唐突に激しい感情の波に飲み込まれて、レンの意識は眠りから急激に浮上した。ぱちりと目を開いて、真っ先に視界に映ったのは2段ベッドのせいで低く感じる天井。
ぐっしょりと汗をかいていたおかげでパジャマが肌にまとわりついて気持ち悪かったが、レンはそれには一切構わず迷わず飛び起きると、下で寝ているはずのリンのもとへ向かう。

優しい夢を

リンとレンは、一緒に作りだされたVOCALOIDだ。2人で1人、お互いが鏡に映った自分同士。以前は2人必ず一緒でないと怖かった。
ここにきてから、家族となったメイコやカイト、ミクと接するうちに、色々経験することで、お互いは同じでも違うのだと、ようやく2人は理解した。

けれどやっぱり他人同士にはない繋がりが2人の間にはあって、たとえば、お互いの感情に少しずつ影響を受けたり、相手の居る場所が何となくわかったり。
気持ち悪いという者もあったが、それでも良いと言ってくれた家族のおかげで、リンもレンも今こうして楽しく暮らせているのだ。

そして今、その繋がりがレンにリンの恐怖を伝えていた。

状況から鑑みるにおそらく悪夢でも見たのだろうが、怖がり方が尋常じゃない。
焦りで梯子を半ば滑り落ちるように降りてみれば、案の定リンは苦しそうに顔を歪めている。
レンの脳内で、リンの恐怖がまるで警鐘を鳴らすようにけたたましく響いている。その音を振り払うように、レンは迷わずリンの肩を掴みゆすり、強い声で呼びかける。

「リン……リン!おい、起きろよリン!」

窓の外の暗さから、まだ時刻が深夜であることは判っていたが、それを考慮して声量を落とすだけの余裕は今のレンにはない。
ただひたすら、一刻も早くリンが悪夢から覚めるようにと名を呼び続ける。

「リン、リン!」

「……ぅ、ん」

暫く呼び続けて、ようやくリンから反応が返ってきた。
跳ねまわる心臓を押さえつけて、じっと見つめるレンの前で、リンの瞳がゆっくりと開かれる。
焦点が合わさらず虚ろな瞳が、だんだんと周囲の様子をとらえはじめ、やがてその視点はレンに辿り着いた。
途端、リンの瞳から洪水のように涙があふれ出した。

「……レ……ン、──っレン!」

ぽろぽろと涙を零し、起きぬけの掠れた声でレンの名を呼び、リンは思い切りレンに抱きついた。
その行動を予想していたレンは、半ば突進するようなリンを仰け反りつつもしっかりと受け止め、宥めるようにぽんぽんと背をさする。

「レン、よかっ、うぇぇ、レン、っく、レェンっ」

リンの口からは嗚咽と共に意味をなさない言葉が吐き出される。
目覚めても尚収まることを知らず、寧ろ激しくなっているような感情の波に、レンは困惑する。
ぎゅうぎゅうと抱きしめられている以上、必要とされていないわけではないのだろうが、リンが泣きやむ気配は一向にない。
しまいにはレンまで段々不安になってきていて、気づけば目からは涙が一筋零れていた。

そこに、コンコン、とノックの音が響く。
そしてレンが振り返って返事をする前に、その扉は控えめに開かれた。
廊下の明かりはついていて、真っ暗な部屋に居たレンの目は一瞬光に耐えられずくらむ。

「……ごめん、リンが泣いてるの、聞こえたから……。入るよ?」

姿は見えなかったが、声で入って来たのはミクだとわかった。
続いて電気つけるよ、という声と共に部屋の中が眩しいくらいの光に満ちる。
今度はギュッと目を瞑ってそれに備えたレンは、ようやく目が明かりになれるのを感じた。
そっと視線を上げれば、心配そうな顔で2人を見ていたミクと目があった。

「って、レンまで泣いてるの?」

「……ごめん、ミク姉……リンが、泣きやまなくて……なんか、オレも」

我ながら格好悪い、とレンは思った。こういう時本来リンを支えるのはレンなのに、全然役に立てないのだ。

「リンちゃん、どうしたの?」

ミクは未だ泣きやまないリンを見やって訊ねる。それに、レンはただかぶりを振った。

「わかんねぇ。悪夢見て魘されてたから起こしたんだけど、起きてから全然泣きやまねえし……」

「そっか……」

悔しさの滲む声でレンがそう言うと、ミクも困った顔でそれだけ返す。
それからそっとベッドに近寄ると、レンの反対側からそっとリンの頭を撫でる。

「リン……どうしたの?」

呼びかけに反応してか、リンの泣き声は縋るような響きを持った。
けれど、結局明確な言葉にならないまま泣き続けてしまう。
リンも何かを言おうとはしているらしいのだが、それが形をなす前に、また涙と嗚咽が先に出てきてしまうらい。

「ごめん、私もこういう時どうしたらいいか……」

他の皆を起こしたら悪いとは思うのだが、この状態ではどうしようもない。
優しい動作でリンの頭を撫で続けつつ、ミクは扉の外へ顔を向けた。

「……やっぱり、誰かに相談しないと……」

その扉の外に、丁度よくルカが顔をのぞかせた。
眠たそうな目が半分閉じていて、いつものきりっとした感じとは違ってどこか抜けていそうだったが、それでも心配そうな辺り、どうやらルカもリンの泣き声で目を覚ましたらしい。

「どうしたの、3人とも」

その問いかけに、ミクがほっとしたような声で答えた。

「ルカちゃん、丁度よかった……リンが悪い夢みて泣いちゃったみたいで。お姉ちゃんかお兄ちゃん、起こしてきてもらえないかなぁ」

私たちじゃどうしようもないの、という言葉に応えて、ルカは頷いた。

「わかりましたわ。リビングの明かりがついていたから、どちらかは起きているでしょう。すぐ呼んでくるから」

眠たげながらも、ルカは安心させるように柔らかく微笑んだ。

「……だから、ミクちゃんまで泣きそうな顔しないで?大丈夫よ。……レン君も、ね」

そう言ってルカが踵を返すと、扉の向こうで桜色の髪が翻って消えた。すぐにととと、という階段を下りていく音が聞こえた。
去り際に残された言葉にレンとミクが顔を見合わせると、お互いの瞳にそれぞれの泣きそうに歪んだ情けない顔が映って、2人で苦笑した。

程なくして、心配そうな顔をしたメイコとカイトがルカに連れられて部屋に入って来た。
3人の様子を見るや、メイコはあっという間に距離を縮め、対してカイトは入り口付近によりかかると、何も言わずただ柔らかい眼差しで見守るようにしている。
ミクが場所を譲るとメイコは自然にそこに収まり、レンが抱きしめていたのを放してメイコに譲ろうとするのを止め、ただ優しくリンの頭に手を置いた。

「大丈夫よ、リン。大丈夫。ゆっくりでいいから、お話しましょう?」

語りかけたメイコの声がいつもとどこか違う響きを持っているような気がして、不思議に思ったレンがそっと視線をずらすと、同じように思ったらしいミクやルカとそれぞれ視線があった。
良く澄んで落ち着いた響きなのは、いつもと変わらない。けれど今は落ち着いているだけでなく、聞いている側が落ち着くような、聞いているだけで無条件で安心できるような響きを持っていた。
メイコに声をかけられて、恐らくその不思議な響きの効果を最も強く受けたのはリンだろう。
リンはそこで泣き始めて以来初めて顔を上げた。

「め、ねぇ……」

「そうよ、メイコよ。リン、お話しできるかしら?」

ゆっくり言い聞かせるようなメイコに、リンはまだぽろぽろと透明な雫を零しながらも頷いた。
そうして言葉を紡ごうとしたリンの声は、声になりきれず掠れていて、リンは咳き込んだ。当然と言えば当然だ、起きてからこちらずっと泣き続けていたのだから。

声をうまく出せないことに再びしゃくり始めたリンに、レンの背後からすっと冷たい気配が通り過ぎて、水の入ったコップが差し出された。
これにはリンとレンだけでなくそばで2人の様子を見ていたミクも驚いたようで、一斉に視線を浴びたカイトも逆に驚いたように軽く目を見開いたが、それでも目元は優しいいままでリンに語りかけた。

「取り敢えず、飲むといいよ。喉もカラカラだろうし、水分だって足りてないはずだから」

そのカイトの声も、普段とは違う響きを持っていた。穏やかで柔らかいだけでなく、無条件に安心する、居心地のいい優しいテノール。
カイトの言葉に素直に頷いて、リンはコップを受け取った。
リンがゆっくりとそれを飲み干し、さらに話始めるまで、また暫くかかったが、それでもリンは今度はちゃんと喋り始めた。
掠れもだいぶ収まり、それなりに落ち着いた声だ。

「夢を……見たの。みんなが、あたしを……置いていく夢」

そこまで言って、リンはまた泣きそうに顔を歪めたが、メイコが背をさすってそっと続きを促すと、きゅっと空になったコップを握る手に力を込めて、また落ち着きを取り戻した。


リンの夢の中で、最初はみんなが一緒にどこともない場所を歩いていた。

そんな中で、まず始めに離れていったのはがくぽとルカだった。2人の歩いていく速さだけが異常に速くなって、けれどリン以外はだれもそれに気付かない。リンは必死で声をあげたけれど、その声は届かなくて、やがて2人は見えなくなった。

そうしている内に、こんどはミクが離れていく。ミクは顔の見えない、マスターでもないだれかの手をとって嬉しそうにしていて、リンの声に気付いているのに聞いていないようだった。

もう離れないように手をつなごうと、リンがメイコの手に自分の手を重ねようとすると、それはもう遠いところにあった。気づかないうちにメイコもカイトも遠いところまで行ってしまっていて、叫んでも叫んでもリンの声はそこまでは届かなかった。

ついにレンと2人だけになって、それでもリンはレンとは手を繋げたことで少し安心していた。けれど隣のレンは無表情でリンのことは瞳にすら映していなくて、それがリンを不安にさせた。
やがてその不安が実現するようにレンもリンから離れていく。繋いでいたはずの手はいつの間にか離れてしまっていた。

追いかけようとして、リンは走れないことに気がついた。そこで、リンはみんなの歩みが速くなったのではなく、ただ自分が歩いていなかったことに気がついた。

名前を叫ぼうとして、リンは声が出ないことに気がついた。そこで、リンは声が届かなかったのではなく、ただ自分が声を出せていなかったことに気がついた。

そうしてたった1人何もできず絶望したところで目を覚ましたのだと言って。リンは言葉を切った。


「怖かったわね……リン」
メイコの声がそう紡ぐと、リンは激しく首を縦に振った。
「あたし……やだよ、離れたくないよ……置いてかれたく、ない……」
か細い声でそう言って、小さく震えたリンを、レンは思わず強く抱きしめた。自分はここに居ると、宣言するように。

「大丈夫だ、リン。オレは絶対にリンを置いてかない!ずっとそばに居るから!」

「そうだよ。私もリンちゃんと離れたくないもん!」

「わたくしも、そばにいますわ。か……家族、ですもの」

レンに続いて口々にリンに宣言するミクとルカに、リンはきょとんとして、それからやっと笑った。
泣き疲れて瞼も鼻も赤くなって、それでも正真正銘の笑顔に、3人はわっと歓声を上げた。

「リン、大丈夫だよ。僕らはみんないつも一緒だ。実際の距離が離れても、心はみんな一緒に居る。誰も置いていかないし、置いていかれない」

カイトが、未だ不思議な響きを持つ声のまま、そう言って微笑む。それを引き継いだメイコの声もそのままだ。

「それに……リン自身だって、そう簡単に置いていかれるほどやわな女じゃないでしょう?」

そうしてメイコが悪戯っぽく微笑むと、リンははっとしたように目を丸くして、それからいつもの調子に戻って力強く頷いた。

「もっちろん!」



それからなんだか離れがたくて、6人は暫くその場で他愛もない会話を続けた。
けれど流石に年少組は夜更かしが苦手らしく、うつらうつらしてきたところで、ふと思い出したようにミクが言った。

「そう言えばさっき、お姉ちゃんとお兄ちゃんの声、普段とちょっと違ったよね。何か落ち着くって言うか……」

「あ、うんうんそうだった。ふあぁ。なんか、めー姉の声聞いてたらすっごい落ち着いたもん」

リンが頷くと、レンとルカも同意するようにメイコとカイトを見た。
一気に視線を集めた2人は、少し困ったように顔を見合わせた。

「うーん、あんまり出さないつもりだったけど……判っちゃった?」

「そりゃVOCALOIDだもん」

当然、と言うようにレンが返せば、メイコはそうなのよねー、と呟いた。代わってカイトが口を開く。

「これもVOCALOIDの機能を使ってるんだよ」

「そうなの?じゃあ私たちにもできるのかな?」

年少組の目はそこで一気に輝いたが、ここで2人は再び困ったように顔を見合わせた。

「それは答えかねるんだよね……。僕らが声をこういう風に変える時に使ってるのは"レゾナンス"っていうのなんだけど……」

「れぞなんす?」

「まあ、CRVシリーズにしかないからわからなくて当然なのよねぇ」

やや視線を逸らし気味にメイコが言うと、途端に抗議の声が上がった。

「なにそれー!お姉ちゃん達だけずるい!」

「オレ達にはできないのかよー」

「あたしだってやったみたいもん!」

口には出さずも珍しくルカもちょっとむきになったような目で見てくるのに、カイトはまあまあ、と宥めるばかりだ。
その隣でメイコがぱんぱんと手を叩くと、少し芝居がかったお説教のポーズをとった。

「まあ、確かにこの方法は私たち限定だけど、あんた達にはあんた達のやり方があるでしょう?自分たちで見つけてらっしゃい」

その言葉はまさに鶴の一声で、4人はたちまちやる気に満ちた声を上げた。

「わかったらさっさと寝るわよ。明日もいっぱい歌うんだから」

「待って待ってお姉ちゃん、私さっきのお姉ちゃんの声もっかい聞きたい!ってか、ここから離れたくない!」

「あたしも、一緒がいいっ!レンもだよね?」

「あ?……オレはまあどっちでも」

「めー姉、カイ兄、レンも一緒がいいって!」

「おいリンッ」

「わ……わたくしも一緒がいいのですけれど……」

弟妹達の可愛い申し立てに、メイコは眉間に指をあてる。隣で人気者だねえとのんびり笑ったカイトを一瞥すると、溜め息と共に言う。

「……わかったわ。みんな布団持ってきなさい」


歓声が上がってから布団が揃うまでは異常に速かった。結局ベッドに全員は入れないから、皆が床で寝ることになったが、布団にくるまれて身を寄せ合えばそのくらいどうということはなかった。

やがて妹達にせがまれて、メイコが子守歌代わりに穏やかな曲を歌いだす。
聞いたことのない言葉で綴られる冒頭の優しいメロディーに、やがてくすりと笑ったカイトの声が加わる。
もともと疲れていた上に、いつもなら熟睡している時間。柔らかな声が手伝って、リンはあっという間に眠りに落ちて行った。
今度は安心しきった幸せそうなその寝顔に、レンとミクも安心して夢の世界へと引き込まれる。
すぐにルカも眠ってしまうと、終わるたびに始めから繰り返し歌っていた2人は顔を見合わせ、弟妹達の布団を直してやると、微笑みあいながら目を閉じた。


大切な家族と眠る夜は、いつもより優しい夢を見せてくれるだろう。


***
蛇足と言う名のあとがき↓(反転)
ぐだぐだ感が否めない(……)
レゾナンスにこんな機能ないですね。ただ声音というか、声質を変えるのに管理人は重宝しています。
なので何かネタに……と思ったらこんな形に。
ちなみにリンの夢で離れて言った順番は、リンが心の底で思っている「そのカップルがくっつく順番」だったりします。カイメイ最下位w
ここまでお付き合い頂きありがとうございました!

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