"> 解明Polka 連載っぽい 忍者ブログ
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某歌ロイドにはまった人がちまちま書いているようです。ブログ名で好きCPがわかる罠

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前々からぼやいていた「カイトがやって来たよ編」、改め「ウタにココロが宿るなら」です。

珍しくシリアスです。めーちゃんはフラグ立てますがカイトがばっきばきにするので、暫く恋愛展開は見込めません。少なくとも「カイトがやって来たよ編」ではないです。
それでもカイメイと言い張ってみる罠。むしろカイ←メイか。

以下注意事項です。これらの事にご注意いただいたうえで、お読みいただければと思います。また、この警告を無視してのご意見、ご感想には対応できかねますので、予めご了承ください。

++Attention!++
以下の事柄が苦手な方はご注意ください。
オリジナルのマスターが出張ってます(今までもちらっと出たことはありましたが今回は喋るので)
PC内のソフト達が人格を持って動いている設定です。

+追記+
先日、このお話が「某古参サイト様の作品のパクリではないか」というご指摘をいただきました。

このコメントをいただいた後に、古参サイト様の作品であるということと、おそらくは管理人がまだ訪問したことのないサイト様の作品であるということを頼りに多くのサイト様を回らせていただきました。そして時間はかかってしまいましたが、おそらくはこの作品を指しているのではないか、という作品を拝読させていただくに至りました(作品名等が明記されていなかったため確証はありませんが)。そうした結果、確かに似ている点が多くありました。
このお話は管理人がその作品を知る前に純粋に考え書き始めたものであり、盗作、いわゆるパクリであるということも、その意図もありません。ですが根底にある設定が似てしまったために、お話そのものも似てしまったのかと、私見ではありますが、そう解釈しています。
このお話の連載を始めるにあたり、サーチ様等を通してなるべく多くのサイト様の作品を拝読させていただき、ネタが被ってしまわないか、お話が被ってしまわないかについては十分に配慮したつもりでしたが、管理人の認識不足のために今回の件を招いてしまいました。
この件について不快な思いをされた皆さまには、深くお詫び申し上げます。

このお話には管理人の着地点がありますので、一応最後まで連載は続けさせていただこうと思っています。ですが、似ているということに対して嫌悪を感じる、不快に思うという方は、閲覧をご遠慮いただいた方がいいかもしれません。


+++

取り敢えず1回分、見切り発車します。
多分、4、5話で一度カタがつくと思います。初連載……よろしければお付き合いください。
でもあまりの糖度の低さに途中他SSに逃げだす可能性大ww

では、本編は続きから。

本日の練習から帰って来た双子は、すこぶる上機嫌で夕食の席についた。
どうやら、先日歌った新曲が、某動画投稿サイトで好評を得たらしい。

「やっぱ、マスターの曲は最高だよな!」

「うん、曲自体もすごいんだけど、それ以上に心がこもってる気がするの!」

キラキラした瞳で交互にそう語る双子に、ミクもルカも笑顔で同意している。
メイコも頷きながらちらりとカイトを盗み見ると、カイトはメイコが予想したのと大方違わない笑顔を浮かべていた。
尊敬と、懐古の情と、複雑なものがないまぜになった、それでも優しい笑顔。

──もしも、この弟妹達に、かつての作曲に関してはへっぽこだったマスターの事を話したら、どんな反応が返ってくるだろう。
まして、マスターが急激に腕前を上げた理由が、ほかならぬカイトだと知ったら。

今のところありえないイフを思い描いて、メイコは心の中でそっと笑った。

マスターもカイトも、そしてメイコも、出会ってからの一連の出来事を懐かしく語るには、まだまだ心がついていかない。いわば黒歴史。
けれど、それまでの事がなかったら、今のメイコ達はここにはいない。

それでもいつか弟妹達に語って聞かせる日が来るだろうかと、少しだけ想いを馳せたからだろうか。
滅多に夢を見ないメイコは、その夜懐かしい夢を見た。


◇ ◇ ◇


マスターからの呼び出しに、メイコ胸の胸は期待に膨らみ、足取りは軽い。
それも当然、メイコはずっと、今日という日を心待ちにしていたのだから。

ここは、人間の生きる現実世界を出来る限り模した電脳世界。0と1とから作り上げられたその広大な世界の片隅、マスターのパソコンの中の一角に用意された小さな家が、メイコの生活場所だった。
メイコはこのパソコンにしか居たことがないから他所がどうなっているのか実際には知らないが、パソコンの中の様子は、インストールされたソフトや、パソコン自体のスペック、デスクトップの壁紙など、簡単に言ってしまえば所有者の趣味によって変わるらしい。
マスターのパソコンの中には、見渡す限りの長閑な世界が広がっている。誰が耕しているか判らない広大な麦畑があって、なだらかな丘の向こうには深い森がある。それぞれのソフトのフォルダを兼ねている家は、いわゆる"イギリスの田舎の古い農家"風らしい。

メイコを始めとするパソコン内のソフト達がマスターと接触するには、ソフトを起動してもらうか、直接デスクトップへ上がるかの2択。通常は前者を利用する。というか、デスクトップは上空に当たるので、上がるにはダイアログさんに協力してもらって必死によじ登るしかない。緊急事態のための手段なのだ。
そういう訳で、今ソフトを起動してもらっているメイコは、歌などの収録にも使う、ソフト内の通信部屋へと向かっている。

歌うアプリケーションソフトウェアとしてパソコン迎えられてから、早1ヶ月。
メイコのマスターは決して曲作りに長けているとは言えないが、メイコは彼の作る曲が大好きで、彼もメイコの歌声を気に入ってくれている。だからメイコはいつも歌う為に呼ばれるたびに、うきうきした気分で通信部屋に向かうのだ。
しかし、今日呼ばれるのは歌う為ではないのだと事前に聞かされている。
最初に聞いた時には、じゃあ何の為に、と大いに戸惑ったが、聞かされた理由に、メイコは普段とは全く別の意味で、呼ばれるのが楽しみになった。

――KAITOが、来る。

メイコの次にリリースされた男声VOCALOID。彼を近い内にインストールするのだと、マスターは言った。

メイコは、決して寂しかった訳ではない。
OSのXPさんを始め、ワードさんやエクセルさんなど、仲良くしてくれるソフトは沢山いるし、広大なネットに出れば、幾らでも他のMEIKO仲間にも会える。それでも、同じパソコンの中で共に生活し、声を重ねる相手ができるというのは、メイコにとっては夢のようなことだった。
2人で声を重ねるのは、きっと素晴らしいことだ。1人ではとても生み出せなかったハーモニーも、2人になれば軽々と紡げるだろう。それに、自分以外の人が奏でる歌を聞くことは、メイコ自身にとってもいい勉強になるだろう。メイコはそれまで2人以上で歌うという経験をしたことはなかったが、何故だかそれは必ず良いものになるという確信を持っていた。

インストールの話はもうパソコンの皆が知っていて(というかメイコが散々話して回ったのだが)、メイコがいかに楽しみにしていたかを知る彼らは、道すがらすれ違う度に、おぉ今日なのか、よかったね、などと声をかけてくれる。

その一つ一つに笑顔で返したメイコは、目当ての扉の前に立つと、ゆっくりと開け放った。
6畳程の部屋の中には、0と1が表面をはしる青白い光の繭に包まれる人影。
その向こうの壁のモニターには満足そうな表情のマスターがいて、メイコと目が合うと得意気に笑って見せた。

それに笑い返して、メイコは光の繭に視線を戻した。
繭の中の人影は、男性としては華奢なシルエットで、しかし明らかにメイコより背が高いし、立派な体格をしている。擬似無重力のインストーラの中で、白く長いコートの裾が吹きあげられているかのように揺れ、外見を特徴づける青く長いマフラーはふわふわとまるで水中でたゆたっているようだった。

インストールが進むにつれ繭は薄くなり、やがて顔立ちまで見えるようになって、メイコはそっと息を呑んだ。
作り物にしたってよく整った端正な顔は、水色に包まれているせいかとても静かで、しかしそっと閉ざされた瞼はどこか幼さもあって、冷たさより穏やかさを感じさせた。はしる0と1に呼応するようにふわふわと漂う濃紺の髪は細く、一本一本が絹糸のようで。
有り体に言ってしまえば、"綺麗"の一言につきる。
実際メイコも、自分よりもよっぽど綺麗な人だと感嘆した。
まぶたに阻まれてその向こうにあるはずの瞳を見ることはかなわないが、男性の癖に繊細で長い睫毛に彩られた目は閉ざされていても十分に絵になっていて、きっと綺麗な瞳をしているのだろうとメイコに思わせた。

夢見心地でその人影を観察していたメイコに、マスターは唐突に悪戯っぽく話しかけた。

『なんだ、メイコ。一目惚れか?』

からかうような調子を含んだその台詞に、メイコは一瞬何を言われたのか判らなくて、一拍遅れてようやく理解すると、猛烈に抗議する。

「なっ……!マスター、何言ってるんですか!そんなはずないでしょう!?」

大体メイコはソフトウェアなのだ。歌うために一通りの感情をインプットされているとはいえ、恋愛のような複雑なプログラミングは為されていないはずなのだ。

『いやー、メイコって結構面食いだったんだなー』

「そんなことありません!」

ニヤニヤと楽しそうに意地悪く笑うマスターにメイコが食ってかかったところで、一際強い光が部屋を満たした。
直前までのやり取りも忘れたかのように、メイコもマスターもその光に見入った。

眩しすぎて目を眇めなければならなかったが、それまで繭の表面を巡っていた0と1がふわりと空中に舞ったかと思うと霧散して、僅かな残滓を残して消える。
その残滓すらも散ったところで、繭の中に居た彼は軽く床に降り立った。直前まで擬似無重力だった名残か、マフラーが今一度なびいて一足遅れて落ち着く。それと同時に彼は瞳を開いた。
予想した通りの綺麗な、寧ろそれ以上の海色の瞳に、メイコは一瞬吸い込まれるような錯覚を覚えた。
きょろきょろと周りを不思議そうに見回す青年にマスターが声をかけたことで、ようやくメイコは我に返った。

『ようKAITO。初めましてだな、俺がお前のマスターだ。んで、そっちがメイコ。お前の先輩になる女声VOCALOIDだ。これからガンガン歌ってもらうからな』

「初めまして、KAITO。よろしく」

マスターに続いてメイコが口を開くと、カイトはにこやかに笑った。とても爽やかな笑顔だ。
続いて発せられる声は落ち着いた、穏やかな響きをもつテノール。

「どうも。よろしくお願いします、えー、ます、た、と。……メイコさん」

マスター、という単語を発する時にだけ何かの違和感を感じて、メイコは一瞬反応が遅れたが、直ぐに思考は自分の呼び名の方へ向いた。

「メイコ、でいいわよ?そんなに硬くしないで。私だって、カイトって呼ぶわ」

すると、カイトは何故か、笑顔のまま少し困ったような色を見せた。

「でも、……先輩なのに」

「関係ないわよ。私だって、歌い始めてまだ1ヶ月だし」

「……でも」

妙に躊躇うカイトをメイコが不思議に思ったところで、マスターが変な助け船を出した。

『うーんそうだなァ。カイト、"めーちゃん"でどうだ?』

「「えっ!?」」

2人の視線は同時にマスターに向かった。どちらの表情も、「なにその恥ずかしい呼び方。変態?」と言わんばかり(マスター補正済みではあるが)だ。

『なんだお前ら、その目は』

「……取り敢えず、慣れるまではメイコさん、でお願いします」

「そうね、慣れるまでは仕方ないわね」

マスターの言葉は軽く流して、カイトとメイコは話を進めた。

『なんだよお前ら、冷たいなー』

いっぱしの大人が口を尖らせて拗ねたようにするのがおかしくて、思わずメイコは噴き出した。
それにつられてカイトが笑うと、当のマスターも一緒に笑った。

「私、あなたと歌うの楽しみにしてたの!あなたが歌うの、早く聴きたい」

笑いながらメイコがそうカイトに話しかけると、彼は頷くでもなく、ただひたすら優しい笑顔でメイコを見返していた。



──この時、僅かに感じた違和感に対して何もしなかったことに、メイコは後で後悔することになる。
彼は一度も、歌と言う単語を口にはしなかった。


ウタにココロが宿るなら -かくしごとはみんなえがおのしたにおしこめて-
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