"> 解明Polka 何というかアレだ 忍者ブログ
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某歌ロイドにはまった人がちまちま書いているようです。ブログ名で好きCPがわかる罠

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先日呟いたmagnetネタ一発目。まさかのがくぽ&KAITOver.のネタです。
てかPとほいほいPがやってくださったあの動画です。

話のネタとしてBLとか右とか左とか出ますが、あくまでネタでしかありません。NL小説です。
ようするにカイメイでぽるかです。どこにどう迷走しても、スタートはカイメイぽるか。ゴールもカイメイぽるか。ようするにカイメイでぽるかです(大事なことなのでry

というか正直この話はカイトに最後の台詞を言わせたかったがために出来上がったようなものです。

ボカロ達やネットワークの設定が限りなくわが道を行っていますが、そんなもんかと思っていただければ何の問題もないと思います。

全体的にギャグ風味?ですか?(聞くな)タイトルの意味は多分考えたら負け。
というわけで、読んで下さる方は続きからどうぞ~。



「カイト殿、今帰りでござるか」

仕事から帰って来たカイトは、玄関前でがくぽと鉢合わせした。

右往左往

がくぽの手には丁寧にラップを掛けられた和風の小鉢を持っている。ちらりと中をのぞくと、茄子の漬物らしいものが入っていた。

「うん、がっくんはどうしたの?」

「夕飯にお呼ばれしたのでござる!」

互いのマスターが友人同士であるおかげで、ネットワーク上でお隣さんにあたるがくぽとカイト達家族との間では盛んに交流がある。仕事もよく一緒になったりするし、週に1度か2度というそれなりの頻度でこうして互いに夕飯に招いたりする。ほぼ家族同然の付き合いだ。

……まあ若干一名、家族、という枠でくくりたくないらしい子もいるけれど。

ともかく、今日のようにがくぽを夕食に招いた日は献立が豪華な確率が高い。『親しき仲にも礼儀あり』と毎度毎度子供たちを諭すメイコが台所での主導権を握る以上、お客様をお持て成しするのに不相応な献立にはなりようがないのだ。賑やかになるであろう食卓を想像して微笑みながら、カイトはがくぽを手招いた。

「それじゃ、あがってあがって、きっとみんなお待ちかねだよ」

招かれるがくぽも慣れたもので、特に遠慮するでもなく、かといって図々しくもなく、ただただ楽しそうにカイトの後に続く。もっとも彼の場合、楽しみなのは夕餉だけではなく、カイトの妹に当たる桜色の髪の娘と無条件で同じ食卓につけることでもあるはずだ。

そうして玄関の戸を開いて、ただいま、と言おうとしたところで、カイトは固まった。
後ろでつかえたがくぽが怪訝そうにカイトの名を呼んだが、彼もすぐに気づいたようだ。

この家のリビングは玄関から入ってすぐにある。あんまり壁が厚いわけじゃないから、大概の音は玄関まで聞こえてくるのだ。
そして、今聞こえてくるのは、カイトとがくぽの歌声。それだけならいいのだ、"ナイス"というユニット名ももらって、カイトとがくぽが共に歌うのはまったく珍しい事ではない。
問題は、聞こえてくる曲。以前収録した歌の歌詞と、撮影したPVが脳裏をよぎる。あれは、青少年の教育上よろしいとは言えないものだったような……そしてそれ以上に恥ずかしいものだったような。

振り返ると、がくぽと目があった。

──うん、曲はまだ1番半ば。まだ、あっちのカットのはずだ。まだ、ましなはずだ。まだ、間に合う。

頷き合うと、それぞれ「ただいまー!!」「お邪魔するでござるー!!」と叫びながらリビングのドアを開けた。扉の向こうでは、ソファに座った弟妹たちと、キッチンに立つメイコとがテレビを見ている。正確には再生されているPVを、だ。カイトとがくぽが予想した通りの光景である。

背後で溜め息と共に目を覆ったがくぽや驚いて振り返った弟妹たちには目もくれず、カイトは迷わずDVDプレーヤーの主電源を落とす。入力がなくなったテレビの画面は、一瞬の間をおいて真っ暗になった。
あーっ!と抗議の声が重なるのは気にしない。チッと、舌打ちが聞こえたのも気にしない。
とにかくこうして主電源を落としてしまえば、リモコンでの操作も関係ない。

「カイ兄~、なんで消しちゃうのー」

「折角面白かったのにぃ」

「あれはそんなに見て面白いものじゃあないよ」

口々に抗議する弟妹らを宥めつつ、カイトは恐る恐る舌打ちした人物……メイコを振り返った。案の定、彼女は半ば呆れたような顔をしていた。それでも作業の手だけは止めないのだから立派なものだ。ちらりと覗きこんだ手元では、ひき肉に玉ねぎやらを混ぜた平べったい楕円の塊が量産されている。
今日のメインディッシュはハンバーグか、美味しそうだなあと、あからさまに不満をはらませた口調でメイコが喋りだすまでの間に、カイトは短く現実逃避をした。

「なぁんで消しちゃうのよ、折角楽しんでたのに」

「あのね……めーちゃんだって、見られたくないPVの一つや二つあるでしょ?」

溜め息をついてカイトがそう返せば、メイコはしれっとした顔でわざとらしく肩をすくめてみせた。

「それはそれ、これはこれ、よ」

「……」

呆れと諦めが混ざって言葉にならない。取り敢えず今度メイコね居ない時にでも、嫌がっていたPVを弟妹達に見せてやろう、とカイトは決心した。そうしてだんまりを続けるカイトに、メイコは無邪気な笑顔で首を傾げた。

「……カイトって、自分が右右しいのは嫌なの?」

場の空気が一瞬固まった。

次いで、カイトは顔を引きつらせ、真っ赤になりかけて結局真っ青になった。

「め、めーちゃん……?」

「あら、わからなかった?じゃあ受けう……」

「ストップ!わかるからめーちゃんストップ!」

半ば必死になってカイトはメイコの言葉を遮る。ほっとくと時々こうした爆弾発言をするから手に負えない。子供たちはと言えば、キョトンとしているミクとリンの傍らで、レンがいたたまれなさそうに顔を背けた。
カイトはそれを視界の端に捉えて思わず泣きたくなってきた。
右って?とリンがレンに尋ねれば、レンは頑なに知らないと答える。リンもミクも納得出来ないようだったが、カイトは弟の頑なな態度に心の内で喝采を叫んだ。かわいい妹達が知らないならば、知らないままで居てほしいものなのだ。

怨み辛みをこめた視線をメイコに送れば、なにか文句でも?、と言わんばかりの不敵な、そしてカイトにとってはこんな時ですら素敵に思える極上の笑みを返してくる。その笑顔に軽くノックアウトされながら、カイトは溜め息をつく。とりあえず確信犯だとわかったから、後日何かしらの手でささやかな報復をしようと心に誓った。

……それから、ふと違和感に気付いた。

本来こういう時、真っ先にカイトをからかいにかかる人物が、ミク達と並んで座ったまま、無言で真っ暗になったTVの画面を見つめ続けているのだ。

「……ルカ?」

常とは違いすぎる態度に、腫れ物に触れるように慎重な口調でカイトは呼び掛ける。
その声に、全員の視線が一斉にルカに集まった。

呼ばれた当人は、名前に反応してか、ゆっくりと振り返った。そして視線が集まっていることに気付き、一拍の間を置いた後――

「ちっ、違いますわ!べべ別に普段着もいいけど洋服も似合ってかか格好いいとかそんなことお思ってみみ見惚れたとかそ、そんなこと決して有り得ませんわ!」

顔を真っ赤に染め、息継ぎなしの早口でまくしたてた。

見事な滑舌と肺活量に、色々なところに突っ込む前にカイトは素直に感心した。

「うわー、なになにルカちゃん、そんなこと考えてたのー?」

一方ですかさずからかい始めるミクとリンは非常に楽しそうだ。どうやら先日のがくぽの誕生日に、"決定的瞬間"を見逃したことを未だに根に持っているらしく、最近は欠片でもがくぽとルカの関係性を匂わせることには徹底的に首を突っ込んでいる。
その執念にカイトは末恐ろしいものを感じ、いつも結果的に行動を共にせざるをえないレンには同情するばかりなのだが(現に今も彼は実にさりげない動作で姉達から距離を置いてみせた)、メイコに言わせれば恋に恋する少女らは得てしてこういうもの、らしい。

一方でルカは二人のからかいの言葉を真っ向から否定してかかっているが、真っ赤な顔で明らかな照れ隠しをされても説得力はゼロに等しい。両側から腕に纏わりつくように絡むミク達に根掘り葉掘り聞かれ、否定するのに必死なルカは、どうやらそれが逆効果であることに気づいてはいないらしい。

何にせよ妹達の中がいいのはいいことだ、と、カイトはもう深く突っ込むことを早々に諦めて、穏やかな保護者の笑顔でそれを見守る。へたに突っ込んでPVの事を持ち出されてもまた面倒くさくなるだけだし、なによりがくぽとルカの恋路は見ている側はとても楽しい。

そうしてにこにこしながら、カイトはこそこそと移動するとがくぽを肘で軽くついた。
ひょえっと奇声を発したがくぽは、直前までの呆けた表情が抜けきっていない。

「……がくぽ、顔、ゆるんでるよ」

「むっ、なんと」

ようやく我に返ったらしいがくぽは、はっとして表情を引き締めた。格好良いと言われ、見惚れていたと宣言されたのがよっぽど嬉しかったらしい。あっという間にいつも通りになったその様子に、あの緩み切ってデレデレした顔を写メにでも残しておけばよかったと、カイトは今更ながら後悔した。

そういう複雑な(?)心境を込めてがくぽの方に向き直ると、背にささやかな甘い香りと、火を通す前の生肉や玉ねぎの匂いを感じた。同時に肩口にこてりと重みがかかる。と同時に、よく知った澄み渡る落ち着いた声が、肩の辺りから発せられる。

「そうそう、ちゃんと引き締めないとね。誕生日の一件以来貴方もあの子たちのターゲットなのよー?」

両手をハンバーグの種でべとべとにしたまま、器用にカイトに体重を預けたメイコは、悪びれもしないような口調でそうのたまった。

「メイコ殿……それは一体誰のせいでござるか」

「カイト」

若干腰が引け気味だったがくぽの問いかけには即答が返された。

それについてはめーちゃんも同罪でしょ、という咎めるでも突っ込むでもないカイトの相の手に、メイコはそうだったかしら?としれっと答える。
そのやり取りに感心するやら呆れるやらのがくぽにお構いなしに、カイトは改めてメイコに問いかける。

「で、めーちゃん。作業放ってきてよかったの?」

その合間に弟妹達の様子を窺い、レンも含めルカとの会話に夢中であることを確認することも忘れなかった。ほんの些細なことでも、見られていたら後が面倒だ。ミク達にしろ、ルカにしろ。見られたメイコの反応も含めて。
当の本人はといえば、相変わらずカイトにもたれかかったままだが。

「あと焼くだけだから、手伝って頂戴」

「ん。りょーかい。じゃあほらめーちゃん、ちゃんと自分で立って」

「言われなくても立てるわよ」

カイトとメイコがのんびりとそんなやり取りをしていると、隣からがくぽの若干低い声が割り込んできた。

「お二方……それは、拙者に対する当てつけととってよろしいか」

その言葉にきょとんと顔メイコとを見合わせてから、カイトがくぽに頷いて見せた。

「悔しい?」

若干メイコに身体を寄せて、カイトが満面の笑みを浮かべて見せれば、メイコは頬を僅かに染め、がくぽは複雑そうな表情で溜め息をついた。


結局ルカはハンバーグが焼けるまで質問攻めを受け続け(途中何度かぼろを出してはさらに突っ込まれる羽目になっていた)、傍観しかできないがくぽは暫くしてからレンに無言で励まされた。

そうしてその夜の食卓は、色々な意味で賑やかなものになったのだった。


◇ ◇ ◇


名残惜しそうにがくぽが帰宅し、騒ぎ疲れた4人が順に入浴を済ませ、眠りについた真夜中。はしゃぐ子供たちの居ないリビングは、数時間前の騒ぎが嘘のように静かだった。
沈黙するテレビの前のソファで、自身も入浴し、髪も生乾きのままタンクトップにゆったりとしたスラックスというラフな格好でタオルを首にかけたカイトはアイスを頬張っていた。

そのカップが丁度空になる頃、不意にガチャリと音を立て、洗面所とリビングを隔てるドアが開く。

「あ、カイ、ト……?」

風呂上がりのメイコは、紅茶色の髪から水滴を滴らせたまま、薄いTシャツにハーフパンツというこれまたラフな格好でリビングに入って来た。

カイトを見つけると微笑んで声をかけてきたが、その言葉は途中で戸惑いの色を含む。それも当然だろう、カイトもメイコに答えるように笑って見せたが、その目は決して笑っていないのだから。

「えーっと、カイト?」

「なあに、めーちゃん?」

取り敢えずカイトの横に収まったメイコは、苦し紛れの愛想笑いを浮かべるが、カイトはそれ以上の作り笑いで答えて見せる。
実際委縮しているメイコが可愛くて、放っておいても笑顔にはなれそうなのだが、こういう時のメイコにはこれが一番効くと心得ている。少なからず自分が悪いと思っている時のメイコは、こうして此方の顔色を窺ってくるのだ。案の定、メイコは観念したように息を吐くと、拗ねたように唇を尖らせ顔を背けた。

「……別に、良いじゃない。PVなんだし。あんたとがくぽの演技力って言うか、空気を作る力っていうの?……少なからず、あの子たちの勉強になるかと思って」

「でも面白半分だったでしょ?……それに」

カイトがそこで少しもったいぶると、メイコは少し不安そうになってカイトに向き直る。

「ちょっとめーちゃん、勘違いしてるかな。僕が気にしてるのはそっちじゃないよ?」

「そうなの?」

「うん。まあ、気にしてないわけじゃないけど、見せちゃったのは仕方ないし……やっぱり教育上、よろしいものではなかった気もするけれど」

予想通りの反応に、カイトはくすくすと堪え切れない笑いを洩らしながら答える。この人は、やっぱり可愛い人だと再認識する。

「けど?」

オウム返しに反芻するメイコの向こう側に片腕を回し、カイトはソファから身を起こすと同時にメイコに覆いかぶさるように身体を反転した。ソファとカイトに挟まれたメイコは、反射的に少し縮こまった。風呂上がりのせいにできないほどに頬が赤く染まっている。
そっと手を伸ばして、顔の横に濡れて貼りついた髪を耳にかけてやれば、そこまで赤くなっているのが露わになった。
水滴を辿るように、頬から首筋を経て鎖骨へ至るラインを指で掠めなぞると、恥じらうようにメイコは顔を伏せた。

その反応に満足して、カイトはメイコの耳元へ悪戯っぽく囁く。

「……右右しい男に攻められる気分はどう?」

くすぐったい、とでも言うように身を捩り、頬を益々赤くして、メイコは抵抗するように口を開く。

「なに、それ……そんなこと、気にしてっ」

「そりゃあね、好きな女の子から言われたら、そんなことでも気にするよ」

めーちゃんが大好きだから、と言えば、小さな声で、照れ隠しの「ばぁか」という言葉が返ってくる。

その言葉の上から唇を塞いで、カイトは覗きこむようにしてメイコと視線を合わせると、今度は本当に優しく、笑いかけた。……狼が優しく笑いかけても意味がないことは重々承知の上で。

「というわけでこれから、より左側っぽく攻めていくつもりだから。覚悟しててね」

そして今度は、愛おしい唇が照れ隠しを紡ぐ前に、かぶりついた。
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