"> 解明Polka これは不意打ちだった 忍者ブログ
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某歌ロイドにはまった人がちまちま書いているようです。ブログ名で好きCPがわかる罠

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先日某S学館のSンデーのハ.ヤ.テ.の.ご.と.くを読んで主従萌えーとか思わず口から出て、今日何となくそれを思い出したら出来上がっていたSSです。
萌えと勢いに任せて、他のやりかけを放り出して書いたのでアレなできなんですが……

-Attention!-
・主従設定パラレルです。ボカロのボの字もないです。捏造万歳。
・ぽ→るかです。主がくぽ、従者ルカ
・最早別人格です。

……ていうかなんだこれ、ギャグで行くはずがなんだかよくわからない代物に……orz
でもルカって絶対メイド服似合うと思うんだ!(力説)

がくぽは明らかにルカ好きですがルカの方はそうではないです。照れているだけです。
でも続くかもしれない(←
gdgdでもよろしければ、続きからどうぞ。



ある主従の朝

ふんわりと漂う紅茶の香りに、がくぽは重い瞼を上げた。

カチャリ。

かすかな陶器の音が、静かに朝日が射し込む室内に響く。それから、静かに人の近づいてくる気配。足音は、もともとその主によって無意識の内に消されている上に、ふわふわの豪勢な絨毯のおかげで皆無に等しい。けれど、がくぽは特に警戒することもない。

その良く知った気配の主がベッドサイドにつくと、ふわり、と美しい桜色の髪の毛が視界の端をかすめ、少しハスキーで、しかし澄んでいる落ち着いた少女の声がかかる。

「おはようございます、がくぽ様。お目覚めでしたか」

視線を少し動かした先に、映るのは、日の出前の湖面のような静かで淡い薄水色の瞳。

「お目覚めでしたか、とは白々しいな、ルカ。起きているのにはとうに気づいていたであろう」

視線を合わせてそう言えば、彼女はあからさまに呆れたような表情になって、ふいと顔を逸らしてしまう。その動きに合わせて長い髪がまた揺れる。

「……でしたら、さっさと身体を起こしてください。紅茶の用意は致しましたが、その姿勢では召し上がれないでしょう」

「うむ。では起こしてくれ」

当然のように言って手を伸ばせば、ルカは一瞬非常に嫌そうな顔で振り返り、それから慌てたように表情を取り繕った。その表情の変化はみているがくぽにはなかなかに面白いものであったが、ここで茶化すと話が進まなくなってしまうので、笑みごと胸の内にしまいこむ。

しばらく、ルカは愛想笑いを繕いつつも呆れた目で量るようにがくぽを見ていたが(これでも本人は表に出していないつもりなのだろうが、目は口ほどに物を言うとは良く言ったものだ、と思う。)、やがて口を開いた。

「……男女の、体格その他諸々の差をご存知ですか」

同時に彼女の顔には、魂胆は判っているのに逆らえないしこいつどうしてくれよう、と書いてある。まったく、判りやすくて可愛いものだ、と今度ばかりは笑いを堪えられなかった。
何ですか、とむっとしたような表情のルカに、満面の笑みで返してやる。

「まあ、知っているがな。起こしてくれ」

ルカはついにあからさまな溜息をついて、渋々とがくぽの手をとり(というよりは鷲掴みだが)、ぐっと引く。もちろんがくぽはそれで起きるつもりは更々なく、逆にルカを自らの上に引っ張る。

勝敗はあっさりとついた。
どさり、と音を立ててルカはがくぽの上に着地する。
黒のシックなデザインのメイド服の長いスカートが蒲団の上にぶわっと広がり、ルカの顔は丁度がくぽの顔の横に収まる。桜色の長髪が散って、白の蒲団と黒いスカートのモノクロの世界を彩っている。すかさずルカの手を引いたのと逆の手でその後頭部を押さえ、がくぽはのんびりと髪を梳く。

ルカは普段、邪魔だからと言ってこの細く繊細でなめらかな長髪を束ねてしまうのだが、がくぽの前では解いている。もちろんそれは、視界の隅で桜色の髪が軌跡を描くのが好きだから、というがくぽの我儘のせいなのだが。
ルカの髪からは、柔らかいような甘いような匂いが微かにする。蒲団越しの温もりと相まって、それがなんとも心地良い。

ルカは最初こそ抵抗したが、がくぽが朝はこれ以上何も手を出す気がないのと、抵抗しても無駄であることを悟ってからは、大人しくされるがままになっている。
こういう朝が始まってから、そろそろ3年が経つかと、がくぽは何とはなしに思い返した。

「……がくぽ様、いい加減にしないと紅茶が冷めます」

暫しの間を置いて、ルカが控えめに言葉を発した。
十分に堪能したがくぽは「うむ。」と大人しく返事をすると、両手をルカの脇にまわし、支えながら上体を起こす。
くぽの手によってその膝に横座りする格好になったルカは、何の恥じらいも躊躇いも見せずにするりと慣れた動作で床に立つ。それからまた音もなく少し遠くにあるテーブルへ向かうと、小さな銀のトレーに紅茶の注がれたカップを乗せて、がくぽのもとに戻ってくる。

差し出されたカップをソーサーごと受け取ると、がくぽはたっぷりのミルクによって透明度の低い淡い琥珀色になった液面を見つめ、香りを楽しむと口をつけた。
口の中にふわっと広がる香り、まろやかな味、ミルクの割合や砂糖の量、その他。
全てが全て、がくぽの好みに仕上げられている。
これも3年の月日のなせる技か、もともとルカの素養が良かったのもあっただろう。

がくぽが一口目の後に再び口を付けずに居ると、隣から心配そうな声がかかる。

「あの……いかがなさいましたか?お気に召しませんでしたか?」

おろおろと、ここ最近では珍しく戸惑ったような態度に、がくぽは珍しくからかうでもなくただ苦笑して答える。

「いや……お前が我のもとに来てから、もう3年も経つのだな、と思ってな」

「そうですね。3年と……1ヶ月と9日ですか」

がくぽにつられるように遠くを見る目をしたルカは、そう言って懐かしそうに表情を緩めた。

「あの頃は楽しかったなあ、何をしてもお前の反応は初々しくて、からかいがいがあった」

「……そうそう従者が主に振り回されているわけにも参りませんから」

また少し不機嫌そうになったルカに笑いかけて、がくぽは隙あり、と言わんばかりにその髪を一房掬いあげ、唇を寄せた。顔が若干にやけるのを自覚しつつ顔を上げたがくぽの目に映ったのは、目を見開き頬を染めて固まるルカの姿だ。
思えばこんなストレートな反応を返されるのは久しぶりで、これは暫くネタになるなと心の中でほくそえんだ。
そして、落ち着いて続きを口に含みながら、ルカの反応を待つ。

「がくぽ様……それは、従者に対してすることでは、ありません……」

平静を保てないルカが絞り出した言葉は、ほぼがくぽの予想通りで、それがまた可笑しくてがくぽは笑いをこぼす。

「ななな、なんですか!」

「いや……。では、誰にすべきなのかな?」

適当にごまかして問い返せば、ルカはまた固まった。
まったく、3年たってもこういうところだけは未だ初々しいのだから、可愛いにもほどがある。

「え、えっとその……こ、こい、びと……に……」

恥ずかしげに目を逸らしたルカが可愛くて、カップの中身を飲みほしたがくぽはなめらかな動作でベッドから出ると、紅茶カップをソーサーに乗せたまま器用にルカを抱きしめた。
腕の中で音を立てて動かなくなったルカの耳元に、がくぽは悪戯するように囁いた。

「……では、こういうこともか?」

「そ、そうです!判っているならなさらないで下さい!」

がくぽの声に我に返ったルカは、その言葉と共にがくぽの腕を解こうと精一杯抵抗してくる。がくぽのメイドである以上、ルカは一通りの護身術を完璧に身につけているはずであったが、主相手にそれを使うわけにもいかないのだろう。

「今日は、午前中には特に予定も何も入っていなかっただろう?」

「は、はい……」

「では、暫くこうしているから、抵抗はするな」

「し、かし……」

がくぽの言葉を境にルカはぴたりと抵抗をやめたが、声には不満が露わになっている。

「命令が聞けないのか?」

言葉と共に腕に力を込めれば、ルカは軽くため息をつきはしたものの、大人しくがくぽの方に体重を預けてきた。

──そう、それでいい。

抱きこんでしまっているせいで、ルカの表情は窺うことができないが、きっと困りきった顔をしているのだろう。
まったく、仕方ない主だと、そう思っているのだろう。

がくぽの想いは一方通行。おそらくこの先叶うこともないし、本来叶ってはいけないものだ。

それでも、今は主従という名の仮面でごまかして、朝の幸福なひと時を逃したくはないと、そっとまた腕に力を込めた。

想いを告げることは叶わないだろう。だが、従者としての彼女を手放す気は、無い。
たとえ主従でも、そばに居られればそれで構わないのだと。

朝の穏やかな空気は、何も言わずにただ2人を包みこんでいた。
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