"> 解明Polka やっとこさカイメイのターン! 忍者ブログ
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某歌ロイドにはまった人がちまちま書いているようです。ブログ名で好きCPがわかる罠

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管理人の脳内がメルトダウンしたようだ。だめだこいつ、早く何とかしないと……!

どうもこんにちは。というわけで番外編年長組のターンをお送りします。
人の誕生日にこいつらなにしてんの、的なそんな話です。
本編未読の方はこちらからどうぞ

なんというかその、ぜ、全年齢です?(聞くな)
ちょっといろっぺーとか、仄めかしたりとかはしましたが、うん。
触ってすらいないし、多分、年齢制限つかないで平気なはずです……うん。

ただ、お前これはコーヒーに砂糖入れたんじゃなくて砂糖にコーヒー入れたんだろ的な、例えるならそんな感じの甘々仕様なので、ほのぼのが好き!って方はご注意下さい。
あと、書き終わってからカイトが本気でへたれてないことに気がついた。何こいつ。あとメイコさんが乙女だ。なんでだ。

そんなんですが、よろしければ続きからどうぞ



──電話を切って顔を上げると、隣のカイトも丁度同じように電話を切ったところだった。
目が合って、お互いににやりと笑う。どうやら事は順調に運んでいるらしい。

幸せの温度

パチン、と軽快な音を立てて携帯を閉じてソファに収まり、カイトは困ったような笑顔を浮かべて、微塵も困っていなさそうな口調で言う。

「卑怯って言われちゃったよ」

「なによ、それあんたの専売特許じゃない」

私が笑って軽く流せば、そうだけどねー、と少し口を尖らせたこの計画の立案者は、それでも順調な運びに満足そうにしている。
でも、この計画のメインはここからだ。そして当事者2人を思うと……いささか不安でもある。

「これからも順調にいくかしら」

「それはないね。」

何となく口に出してみれば、カイトは爽やかな笑顔ですっぱり断言した。
そのあまりの潔さに、私は色々通り越して寧ろ感心してしまう。

「凄い自信ね。でも、うまくいくって思ったから計画立てたんでしょう?」

「うん。こっからしばらくは全然うまくいかないと思うけど、帰ってくるまでにはうまくいってると思うよ」

雨、降りそうだし、という言葉に、私はなんとなく納得した。
この間2人が少し歩み寄ったのは雨が降った日だったし、カイトが聞かされた惚気では、がくぽはどうも雨の日のルカの姿が特に好きらしい。理由はよくわからないけれど、カイトは凄く共感するところがあったらしいから、まあそういうものなのだろう。

──雨の日はめーちゃんだけが凄く鮮やかに映るんだよ。

照れることもせずに優しく微笑んで言われた時の、空気やら唇の動きやらを思い出して、私は思わず赤面しそうになった。脳裏の光景を振り払って私も携帯を閉じると、ぽすっとカイトの隣に座る。

「……そうね、がくぽはあんたと違って、へたれでも甲斐性なしじゃないもんね」

「めーちゃんそれ酷い!」

先にソファに座っていたカイトは、軽い振動にゆすられながら不機嫌そうな表情にうるうるした瞳で見つめてきた。
──こいつは本当に芸達者なのだ。こと演じることに関しては、私よりも上手いと素直に認める。
そう、演技だってわかってるのに、私はこういう態度をとられるととても弱い。多分カイトもそれをわかっていて仕掛けてきているのだと思うと非常に悔しい。というか、その、この表情は、どちらかと言うと夜、誘われる時によく使われるから、寧ろそっちを連想してしまって余計に、……まずい。

赤面していることを自覚しているから、私はなるべく自然な動作を心掛けてカイトから顔を背けた。同時に何とかうわっついてきた気分を押さえようと深く息を吐く。けれど、するりと伸びてきて、何の抵抗もないように私の顎をさらう指が、それらの努力を全て無駄にした。

私が事態をきちんと自覚したのは、咄嗟に言葉を出すことをさせなかった唇が触れただけで離れて行って、影が差した視界が再び明るくなってからだった。

途端に耳まで赤くなったのが自分でもわかる。さっきまでの表情から一転してしてやったりな顔でにんまり笑っているのがものすごく気に食わない。おまけにぺろりと唇を舐めて、ご馳走様、とか言ってくる始末。

なにするの、なんで、ふざけるな、ひきょうだ、うれし……いやこれはないない。

とにかく言葉が脳裏を渦巻いて、一瞬の柔らかい感触が焼き付いて、私は上手く言葉を紡げずにただ口をぱくぱくと開閉することしかできない。

「……めーちゃん、言いたいことは言わなきゃ伝わらないよ?」

にっこり笑ってカイトはそうのたまった。判ってるんでしょ、と思わず上げかけた手は、空中でぱしっと押さえられた。

「ひ、きょう……」

「いや、だってさ、めーちゃんがすっごいもの欲しそうな顔してたから」

「し、してないっ。てか、やっぱ、判って……」

「甲斐性なしは甲斐性なしなりに頑張ってみようと思いまして」

「な……んぅっ」

反論は唇に奪われる。何度か角度を変えて、触れる。それからぬるりと唇を舌が割ってきて……



ぐ~きゅるるるる


…………。

おなかが、なりました。


「……ぶっ、く、くくく……」

「わ、笑わないでよ!」

さっきとは別の意味で顔が真っ赤になる。俯いたカイトは片手で口元を押さえて表情は全然見えないけれど、堪え切れていない声が漏れるし肩が震えているので笑っているのがよくわかる。

「だって……めーちゃん素直じゃないくせに、お腹は素直なんだなあって……」

くくく、とのどを鳴らして笑う。私はもう恥ずかしくてたまらなくて、カイトの手を振り払って勢いよく立ちあがった。

「もういいでしょう!お昼にしましょ、お昼!」

「はいはい。全く、めーちゃんが素直なのは、ご飯の時とベッ……」

「余計なことは言わなくてよろしい!」

ぺちん、と軽く頭をたたくと、いてっとわざとらしく声を上げる。私はそれを無視して台所に立つけど、ソファの方から「まったく、可愛いなあ……」という本当に微かな呟きが聞こえてきて、私の心臓はしばらく落ち着けそうにない。
普通は聞き取れないだろう音量の呟きだって、VOCALOIDの耳は余裕で拾い上げる。この耳の性能が、今は少し恨めしい。
というか、カイトは多分これが私に聞こえてるって確信して言っている。じゃなかったら声に出しはしないんだろう。だらしなくにやけている顔が余裕で想像できて、それでも格好いいと思える私は、きっと末期なんだろう。

なんだかこれから何か作るのは少し面倒に思えて、私はレタスやトマトを洗う。今日のお昼はセルフサンドイッチで決まりだ。

暫くすると、ふわりと、心地よい重さと体温が背中に舞い降りた。作業の邪魔にならないようにという配慮か、腕は回されるけれど邪魔にならない絶妙な位置に落ち着いている。首筋に触れる短い髪が少しくすぐったい。包み込むような腕に僅かに込められた力が、"好き"を囁いているようだった。

「……どうしたの、今日はやけにくっついてくるじゃない」

「ん。……久しぶりに、めーちゃんと2人きりだから」

そう、弟妹達の前では絶対にべたべたしない、という約束を、カイトは律義に守っている。
ミクが来る前は自重?何それ?だったカイトが、今は"昼間は"きちんと禁欲生活を送っているのだから、そういえば普通に凄いことかもしれない。夜は……まあ、ね。それでうっかり夜は大概そうじゃない、と言いかけたけれど、慌てて飲み込んだ。そんなこと言ったら、何されるかわかったもんじゃない。けれど、動揺は表に出てしまったようで。

「めーちゃん?」

「……何でもない」

怪訝そうに問いかけられて、そう答えたけれど、どうも見透かされたみたいだ。

「ふふ……。今は邪魔しないから、こうしてていいよね?」

今は、を強調されて、それに関しては嫌な予感しかしなかったけれど、背中の存在が暖かくて愛しいのは確かだったから、私は頷いた。


◇ ◇ ◇



『助かったよお姉ちゃん。ありがとう』

「ええ。気をつけてね……いろいろと、ね」

『はーい。じゃ、またあとで。報告とか、楽しみにしてて』

「そうねぇ、期待しないで待ってるわ」

カイトの予報が当たって、予定通りに事が進むなら、多分ミク達が"決定的瞬間"を目撃することはない。笑い混じりに電話を切ると、丁度カイトが洗い物を終えたところだった。

「ふふ、頼られてるねえ、"お姉ちゃん"?」

手を拭きながら楽しそうに寄ってくるカイトに、私は少しだけ顔を顰めて見せる。

「何よ、悪い?」

「ううん、全然。ただね……」

囁くような声で言いながら、カイトは私の事を後ろから抱き寄せてくる。その動作があまりに自然で優しかったから、私はされるがままになる。短めにそろえている私の髪を、指先で絡め取るようにそっと掬って、カイトはそこに口づける。それから、思わず赤くなる私の耳元にその唇を寄せる。

「僕の前では、"女の子"でいてくれればいいなって」

まったくこの男は、どれだけ私を赤面させれば気が済むのだろうか。せめて真っ赤になった顔を見せまいと顔を伏せれば、今度は強引に振り向かせるのではなく、ただ優しく頭を撫でられる。
なんだか意地を張るのも馬鹿らしくなってそっと体重を預けると、回された腕に力がこもった。
暫くその姿勢で落ち着いていると、不意にくるりと腕の中で反転させられる。何となく視線を上げたらばっちり目があって、そっと頬に手を添えられる。私はそれに応えるようにその背中に手を回す。

蒼い瞳の中に映る自分がだんだん大きくなって、吐息がじかに触れる距離になって、私は雰囲気に流されて瞳を閉じた。

……けれど、予想した感触は未だ訪れない。

不思議に思って目を開けば、やっぱり至近距離で私を映す瞳は実に楽しそうに細められていて、私ははめられたと悟った。カイトは思わず殴りたくなるほどイイ笑顔で、するりと唇を私の耳元に寄せた。

「何を、期待してたの?」

耳朶を叩く吐息が妙に艶っぽくて、私は赤面と同時に身を竦ませた。

「べ、別に期待なんかしてないものっ」

きっと、この程度の意地っ張りはばれてるんだろう。というか、赤面した私の台詞が説得力を持っていないのは自分でもよくわかる。

「素直になっていいんだよ?めーちゃん」

声音がやたら楽しそうだ。嗚呼、本当についさっきの自分はなんて馬鹿正直に反応したんだろう。

「ねね、何を期待したの?」

顔を背けようとすれば頬に添えられたままの手に防がれ、視線だけ逸らしてみれば、至近距離から覗きこまれる。逃げ場がない。

言えというのだ、こいつは。私に、その、……。

暫くは粘った。目も逸らせないけれど、何だか悔しい気持ちが先に立った。しかもカイトはそれ以上は何も言わない。ただじっと、私が口を開くのを待っているのだ。全く性質が悪い。
けれど恥ずかしいことながら、期待していたのも、まあ、事実で……。

「……す」

「うん?」


「きす、して、……ほしい」


我ながらとてもか細い声だ。なんだか情けない。しかしその思いも、カイトは嫌みではなく本当に嬉しそうにふわりと笑って、仰せのままに、お姫様、なんて言うものだからどこかへ行ってしまう。
再び距離を縮める吐息に瞳を閉じれば、今度こそ待ち望んだ温もりが降ってくる。

その温もりを確かめるように、何度も何度も触れ合わせて。

だんだん深くなっていく口付けが、とても心地よかった。

……が、その唇が首筋を伝い、背中に手が這わされてくるのを感じて、私は慌ててカイトを引き剥がした。

「だ、め……」

「……めーちゃん?」

カイトは少し悲しそうな顔をする。ああ、そんな顔しないで。
恥ずかしくて俯いて、でも誤解されては嫌だから、私は素直に口を開く。

「あのね、今から、され、たら……その、みんなが帰ってくる頃、普通の顔、していられない……から……」

すぐには何の反応もなくて、でもその後、とても温かくて心地よい気配に包まれた。

「あーもう、可愛い、可愛くて仕方ないっ」

驚いて身を竦ませると、安心させるように、宥めるように囁かれる。

「だいじょーぶ。これ以上しない。でも、ずっと抱きしめていたい。……いい?」

回された手が探る気配はなくて、純粋に抱きしめられているのだと‏知る。柔らかい声に安堵して、私は返事の代わりに抱きしめ返すに少しの力と想いを込めた。

温もりが、幸せの温度を教えてくれる。

「愛してるよ、めーちゃん」

囁かれる言葉は少しくすぐったくて、とても温かい。

「うん。私も」

カイトの言葉はストレートだ。いつもいつも与えてくれて、私はそれを反芻する。
でも今日は、自分から言ってもいいと思えたから。

「私も……愛してる。……カイト」

少しだけ、驚いたように息をのむ気配があって、それから、ふっと笑みがこぼれたのを感じた。ああ、なんて心地好い、貴方の腕の中。

安心して身体を預けていると、暫くしてから不意に囁かれた。

「……続きは、夜……ね」

悪戯っぽく微笑まれて、私はやっぱり真っ赤になって頷くしかなかった。


それからずっと、ミクからの電話がかかってくるまで。私たちは幸せの温度を感じていた。
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