"> 解明Polka ぐだる 忍者ブログ
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某歌ロイドにはまった人がちまちま書いているようです。ブログ名で好きCPがわかる罠

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すっかり遅くなったがくぽ誕生日話番外編、年少組の尾行編です。
本編未読の方はこちらからどうぞ
なんだか本気でぐだる……キャラ掴む練習も兼ねて、年少組の中で視点を回してお送りします。

それにしてもタイミングの悪い年少組。そしてレン不憫w
取り敢えず、何故あんな絶好のタイミングで電話がかかって来たか?についてと、パーティーがいかにカオスだったかについて、のお話でした。にしてもちょっと要素盛りすぎた気がする……
年少組のやきもきはもうしばらく続きそうですw

作中に出てきたミクの「同じベッドで~」云々の話は詳しくはこちらつ 「ある真夜中のお話」
興味ありましたらどうぞ。カイメイです。

メイコもカイトも勘がいいだけですw本当にw
では続きからどうぞ



7月31日、午前10時50分。山彦広場、時計塔前から少し離れたベンチにて。ミク、リン、そしてオレ、レンの3人は顔を合わせた。
姉2人は、無駄に──そう、無駄に真剣な顔で頷き合っている。オレは2人に気づかれないようにそっと溜め息をついた。
広場、特に時計塔の前は、待ち合わせらしく時折時計に目をやりながら立っている人がそこここに居る。
この広場は待ち合わせスポットとしてメジャーなところだ。もっとも、今オレ達がここに居るのは待ち合わせのためではない。

じゃあ、何のために居るのか?答えは簡単、待ち合わせ場所にやってくるはずの人物を待ち伏せて、尾行するためだ。

恋って大変

事の発端は、姉2人の好奇心。
がくぽの誕生日である今日、彼に内緒でパーティーを開き祝おうというカイ兄の提案に、当然異論があるものは居なかった。
それが、大体一週間前の話。何故か話し合いの場にルカ姉は居なくて、それを不思議に思ったオレが訊ねる前に、ミク姉が訊ねた。
当然の疑問だとリンも頷いていたから、オレも頷いてみたけど、訊ねられためー姉とカイ兄は、顔を見合わせてから悪戯っぽい笑みを浮かべて、直にわかるよ、と言った。

オレ達がその言葉の意味を知ったのは昨日の話。
仕事でもないカイ兄がどこかへ出かけようとしているのを偶然見かけて、どこへ行くのかと聞いたのだ。
オレの声に反応したミク姉とリンがリビングから顔を出すと、カイ兄は少し苦笑して、それからこれは秘密の計画なんだけど、と悪戯っ子の顔になって切りだす。
続く、これからがっくんに"仕組まれた待ち合わせの約束"をとりつけてくるんだよ、という言葉は、そのままではオレ達には理解不能だったけれど、更に続いたカイ兄の計画に、オレは少しずつ納得し、そして後ろの2人がなにやら良からぬことを思いついたことを察した。
それからカイ兄は爽やかな笑顔で玄関を出て行って、それを待ちわびたようにミク姉とリンが口を開いた。

「ルカちゃんとがくぽさんがデートするってことだよね、これって!」

「だよね、こうなったら尾行するしかないよね!」

……嫌な予感はしていたんだ。ただ、逃げるには絶対的に時間が足りなかった。
2人に爽やかな、しかし強制感の漂う笑顔で訊ねられたオレは、悲しいかなひきつった顔で頷く以外に選択肢を持たないことを自覚した。
……我が家の男性陣の地位について、今度真剣にカイ兄に相談してみようと思った。


そんなこんなで、オレ達は今時計塔前で待ち合わせに来るはずの2人、ルカ姉とがくぽを待っている。
パーティーの準備中に万が一がくぽが来てしまうのを防ぐため。
カイ兄はそう説明した後、それから……と言ってにっこり笑った。言わなくてもわかるよね、という声が聞こえた気がしたし、実際わかった。
あの2人をくっつけるんだよね!と息巻いたのはミク姉。きっとその時から頭の中で計画を練り始めていたのだろう。
くっつけるというか…まあ、じれったいし、と答えたカイ兄に、それは兄さんたちもだと心の中で突っ込んだのはオレだけではなかった筈だ。

ともかくも、めー姉とカイ兄目論見通り、11時丁度に、ターゲットの2人は時計塔前に現れた。

「いよいよ、いよいよだねえ」

「わくわくしてきたーっ」

そわそわしている2人から意識を逸らしながら、しかし好奇心に勝てず、オレも少し遠くの2人の様子を窺おうとした、その時。
ポケットの中で携帯がブーブーと唸った。取り出してみれば、着信:めー姉、の文字が液晶に映しだされている。
戸惑いつつも通話ボタンを押せば、電話口からめー姉の弾んだ声が発せられた。

『あ、レン?メイコだけど、どう、がくぽとルカ、ちゃんと来た?』

「……え?」

開口一番の問いに、オレは思わず言葉を詰まらせた。今日の尾行作戦の事はめー姉とカイ兄には言っていないはずだ。

今日は、ミク姉にもリンにも俺にも仕事が入っている。
もちろんそっちをサボるわけじゃないけれど、仕事の日には、早くからスタジオに入って、万全の態勢で臨む様にというのが我が家の姉の教えだったから、それを破る事になるだろう計画は、言わないほうがいいだろうというのがオレ達が出した結論だった。

答えないオレに、めー姉はあれ?と言葉を続けた。

『尾行するんじゃないの、あんた達』

……どういうわけかばれているようだった。それでは仕方ないと、オレは正直に答えることにした。

「……そうだけど。何で?」

『そんなの見てればわかるわよ。ただし、仕事の出来がいつもより悪かったら、怒るからね』

「……わかった。心してかかるよ」

『で、2人は来てる?それだけ確認したいんだけど』

「ん……来てるよ。今、なんか固まってる」

『わかったわ、ありがとう』

「おう」

『それじゃ、ほどほどにね。仕事の件はちゃんとミクとリンにも伝えてね?』

「……おう」

最後にふっと笑う気配を残して、電話は切れた。
まだ呆然としたまま切れた電話を見つめていると、隣でリンがおっと声を上げた。
つられて視線を辿ると、丁度ルカ姉とがくぽに電話がかかって来たようだった。
もちろん、ここからでは会話の内容は聞こえない。……が、慌てふためきやがて赤面する様子を眺めるだけで、なかなか楽しかった。

やばい、これ、嵌るかも知れない。

そう思いつつ隣の2人に目を向けると、2人とも固唾をのんで様子を見ている。熱中しすぎて周りが見えていないようで、そのあまりの熱中っぷりに、オレは少し現実に引き戻された。
なんだか見ていられない気持ちになってルカ姉達の方に視線を戻したところで、時計塔の文字盤が目に入った。そこで、ふと思い出す。

「……ミク姉」

「何?レン、今いいとこなんだけど」

別にキスシーンとかそういうわけでもないのに、ミク姉は手に汗握ってルカ姉達を凝視している。どうやらオレの役は貧乏くじのようだが、めー姉にくぎを刺されている以上言わないわけにはいかない。

「いや、ミク姉そろそろマスターのとこに行かないと間に合わなくないかって……」

「えー、だってこれからだよ?」

「めー姉が、仕事の出来がいつもより悪かったら、怒るって」

「……行ってきます。後は任せるからね、リン、レン」

不満げな顔で渋々頷いたミク姉に、リンは、「イエッサ、ミク隊長!」と答えた。……なにごっこだ、これは。


◇ ◇ ◇


移動した2人を尾行して行って、ついた先は立派で落ち着いた佇まいのレストランだった。
道中2人の間に殆ど会話が見られないのをレンは少し気にかけていたが、リンの方は「きっと緊張しているんだよ!初々しいなあ」と楽しげにのたまっていた。
そのリンは、レストランを前に顔を輝かせている。ルカ姉達がこの中に入ったのは間違いない。
だけどここはどうも予約制のようだ。どうやってリンを諦めさせようかと考え始めたところで、店の中から現れたウェイターに声をかけられた。

「失礼ですが、鏡音様では?」

「え……はい、そうですけど……?」

戸惑いつつもオレがそう返すと、ウェイターはにっこり笑って店の入り口を示した。

「メイコ様から伺っております。中へどうぞ」

めー姉が?とますます戸惑うオレの横で、リンはますます顔を輝かせ、迷わず店内へ足を向ける。
仕方がないからオレもついていくけれど、こんな大人っぽい雰囲気のところに入るのは初めてで、すごく緊張する。
通された席は、丁度ルカ姉達のテーブルから少し離れたところで、間にあるガラスの仕切りのせいで、気づかれにくいが見やすいという絶妙な位置だった。めー姉の計画性の高さには脱帽せざるを得ない。

食事をしつつ、ちらちらとルカ姉達の方を窺ってみたけれど、これといった会話もないようだった。
なんだか不安だったけど、オレもリンも意識のほとんどを食事の方に持っていかれていた。


◇ ◇ ◇


美味しい食事を満喫した後、慌ててレンが立ち上がって、追うぞ!って言って、やっとあたしは本来の目的を思い出した。
支払はめー姉持ちらしくって、あたしたちはちょっと安心してルカちゃん達の後を追いかける……ってところで、レンがあっと声を上げた。

「やっべ……オレ、そろそろ仕事だわ」

「あ、もうそんな時間かあ……大丈夫、後はあたしに任しといて!」

胸を張って言うと、レンはあからさまに不安そうな顔をした。

「……もうすぐ、ミク姉が合流できるはずだから、いいか、絶対、変な真似すんなよ!」

「変な真似って何よう!」

「後、道に迷ったりとか、変な奴に絡まれたりとかしたら、ちゃんと助けを呼べよ?」

嫌に真剣にレンはそう言ったけど、あたしは思わず吹いてしまった。

「……心配、してくれるんだ?」

くすくす笑いながら言うと、レンは少し拗ねたように顔を薄く染めて、口を尖らせた。

「……なんだよ、仕方ねえだろ、心配なんだから……」

「大丈夫だって、あたしを誰だと思ってるの?」

強気な姿勢で返して見せれば、レンは苦笑する様な顔をする。……あれ、誰かに似てる?

「……だから余計心配なんだけど……ま、気をつけてな!」

レンはすぐに元気な顔をとり返すと、手を振って走って行った。そのせいでその感覚はどこかへ消えてしまったけど、すぐに遠くからミク姉の声がしてきて、それは頭の隅に行ってしまった。

「よかった、追いついたー。……レンとは入れ違いになっちゃったかぁ」

「ミク姉、どうしてここがわかったの?」

「お姉ちゃんに聞いたの。レンに電話かかってたし、いいかなって。そしたら、レストランの場所教えてくれて、ま
だ近くにいるだろうからって……」

「……めー姉はエスパーなのかな」

あたしが呆れたような声で言うと、ミク姉もうんうんと真剣に頷いた。

「お姉ちゃんって、こういう時とかすっごい鋭いもんねぇ」

「……ホント、監視されてるんじゃないかって思うくらい!」

「監視って……、あ、そうだ、ルカちゃんとがくぽさんは?」

言われてあたしはハッとした。ついさっきまでその辺を歩いてたはず……と周囲を見回すと、少し遠くの角を曲がるルカちゃん達の姿があった。

「ミク姉、ナイス!思わず見失うとこだったよ~」

「ふふっ、じゃあ張り切って追っかけよう!」

にんまりと笑いあって、あたしとミク姉はルカちゃん達の曲がった角へ向かった。


◇ ◇ ◇


「ねえ……なんか、あんまりいい雰囲気じゃないね……」

「……だな」

私はリンと合流してからずっとルカちゃん達の後について歩いてきた。
途中で仕事を終わらせたレンと合流して、暫くして仕事の時間になったリンと別れて、ずっとずっと歩いてきた。
デートだけど、2人はまだ付き合っているわけではないから、流石にいちゃいちゃしてるところとか、キスシーンとかはあんまり期待していなかった。
でも代わりに、思いっきり照れながら手をつないだり、とか、そういうのは正直、すっごく期待してたから、今2人の間に漂う不穏な空気はものすごく予想外だった。
2人はどこによるでもなく、何を喋るでもなく、ただひたすら歩いていた。
なんだかすごく悪いことをしているような気がしてきて、私は思わず携帯を取り出した。

「……ミク姉?どーかした?」

「ううん、ちょっと……お姉ちゃんにかけてみようかなって……」

「何で?」

「何か、どうすればいいのか分からなくなっちゃった。どうこうできることじゃないのは判ってるんだけどね……、落ち着かなくて」

「まあ、確かにアレは流石に不安になるなあ……」

「でしょ?そもそもルカちゃんとがくぽさんが両片思いいっていうのも、お姉ちゃん達が言ってたことだし……聞けば、何かわかるかも」

決心して、通話ボタンを押す。呼び出し音が鳴り始めてからしばらくして、お姉ちゃんがでた。

「もしもし、お姉ちゃん?ミクだけど……」

『あらミク、どうしたの?』

お姉ちゃんの優しい声に安心して、私は今のルカちゃん達の状況を話した。それから、不安で仕方ないことを付け足すと、機械の向こうでお姉ちゃんが笑う気配がした。

「お姉ちゃん、何で笑ってるの?」

『ん?まあそういうものかなって思って。大丈夫よ、予想の範囲内だから』

むしろ的中ね、というお姉ちゃんに、私は困惑して聞いた。

「範囲内って……とても両片思いの2人には見えないんだけれど……」

そもそも何で両片思いってわかるの、と尋ねれば、お姉ちゃんは楽しそうな、諭すような、ちょっと不思議な声で話してくれた。

『ミク、まずね、思いあってるっていうのは多分、ミクが思っているより複雑なことよ。好き同士ならすぐに付き合えるわけじゃないし、逆に素直になれないことも多々あるもの』

「うん、それはそうだろうけど……」

『で、ルカは世間一般で言うツンデレで、がくぽは見栄っ張りのカッコつけでへたれなんだけど……』

「え、そうなの!?」

吃驚して思わず大声が出そうになったのをこらえて、私は携帯にかじりつく。私の反応に、逆にお姉ちゃんも驚いたみたいだった。

『そうよ?それから両片思いの話は、まあ殆ど状況証拠なんだけれど……』

ルカががくぽを好きなのは判るでしょ?という問いには、私は迷わず肯定を返した。だって態度が露骨すぎるんだ、いろんな意味で。

『がくぽはね、一目惚れだったらしいわよ。カイトが直接確認取ってる』

「ひ、一目惚れ……?」

私は、がくぽさんとの初対面の日を思い返す。あの時がくぽさん、ルカちゃんに冷たくあしらわれていきなり落ち込んでなかったっけ……?

『まあ、そんなもんなのよ。よって2人は両片思い。しかも多分背中押さないとなかなか進展しない、ね……と、ちょっと待って』

ガッとノイズが入って、お姉ちゃんが受話口を押さえたのがわかった。
無言になった間に、私はそっとお姉ちゃんに突っ込みを入れておく。

──お姉ちゃん、それ人の事言ってる場合じゃないよ、と。

大体同じベッドで寝てても何にもないとかおかしいじゃない。狭いじゃないのって、怒るポイント違うじゃない。お兄ちゃんにしたって冷静すぎじゃない。
携帯を耳元にあてたままいつかの朝を思い出して遠い目をしていると、レンが隣から声をかけてきた。

「ミク姉、どうかした?なんか良くない?」

「ううん……、恋って……大変だなあって。まあ、心配はいらない、らしいよ」

私の言葉に、レンは凄く胡散臭げな顔になった。うん、気持ちはよくわかる。

「マジで?あれで心配いらねえの……」

レンの言葉が終わるのと同時くらいに、耳元で再びお姉ちゃんの声がした。

『ミク、それからレンも今一緒かしら。カイトがね、そろそろ雨降るだろうから帰っておいでって』

「お兄ちゃんが?」

私は思わず空を見上げた。夕焼けの気配をかすかに感じる空は、まだまだ明るい。雲も薄いけれど……こういう時のお兄ちゃんの"予報"がよく当たるのは、私は身をもって知っている。

『ええ。それにそろそろ手伝ってもらいたいから。リンには私から連絡しとくわ』

「うん、わかった。……じゃあ、帰るね」

そう言って、通話を切ると、レンがこっちを見上げている。

「帰んの?」

「うん、お兄ちゃんが雨が降るって言ってるのと、そろそろ手伝ってほしいって」

伝えると、レンは心底疲れたと言いたげな表情で溜め息をついた。

「うし、この尾行もやっと終わりだな」

「レンはそんなに嫌だった?」

「ったりめーだろ?悪趣味ったらない」

でも途中ちょっとのりのりじゃなかった……?などと軽口をたたきながら、私たちはルカちゃん達から目を逸らし、家路についた。


丁度家に着くころ、雨が降り出した。


◇ ◇ ◇


帰って来たルカ姉とがくぽは何故か上機嫌で、オレはあの後何かあったのかな、程度にしか思わなかったけれど、ミク姉とリンはすっごく悔しがっていた。

「ああもう、何であそこで帰っちゃったのかなぁ!」

ルカ姉とがくぽを玄関に待たせて最後の仕上げをする中で、ぎりぎり玄関に聞こえない音量でミク姉が愚痴る。

「まあまあ、濡れなくて済んでよかったでしょ?」

「それはそうだけどーっ」

苦笑しつつたしなめるカイ兄に、ミク姉も、リンも、まだ諦めがつかないようだ。

「はいはい、これからパーティーなんだから、尾行の話は内緒。足りないんだったらパーティーに乗じてからかっときなさい」

めー姉がさりげなく悪魔の囁きをした。いいのか、と突っ込みたかったけれど、もう姉2人はやる気満々のようだった。

オレはこっそり溜め息をついて、今からどうやってとばっちりを避けるかを考えた。



パーティーは盛大で、とても賑やかだった。
………うん、盛大だった………。
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