"> 解明Polka あれ、おかしいな 忍者ブログ
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某歌ロイドにはまった人がちまちま書いているようです。ブログ名で好きCPがわかる罠

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膝枕は、正義

xx-largeなんて初めて使いました。紫もです。
毎度1000刻みにありがとうございますます言って参りましたが、それよりは小ネタでも上げた方がよっぽどお礼になるんジャマイカと考えたのが事の発端。

だからカイメイとぽるかで短い話を一つづつ、ちょっとによっとして頂けるようなものを…と考えたのです。
それがうっかり年長組に甘たいミクちゃんテラカワユスとか思ったばっかりに、まともなSS並みの長さになりました…もはや小ネタじゃない。

我が家のミクは甘えたさんです。もう可愛いものだから年長組もべたべたに甘やかします。そんな姉兄妹テラカワユス(*´▽`)
でも普段はちゃんとお姉ちゃんしようと自重するのです。良い子です。でも甘えたいんだ…っていうそこが良いと思うのですがどうでしょう。
あと恋に恋する乙女なんですが、カイメイがべたべたするの見たいけれど、いざ見ちゃうと恥ずかしくて直視できないとか、そういうのが良いと思います。うっかり目撃しても誰にも話せず胸の内にしまって、1人の時に思い返してモダモダすると良いと思います。ちなみにその場は何も気にしていないかのように振舞いますが、気にしているのはバレバレです。仕事だとできるけどオフだと素直すぎて何でも顔に出るといいと思います。
で、めーちゃんは見られたと知るとその場ではクールにいつも通りに振舞うんだけど、カイトと2人きりもしくは1人きりになるとモダモダしちゃうといいと思います。演技派ですからね!
カイトはそれの全てを見渡してによによします。嫌な奴ですね! その後モダモダするだろうめーちゃんも可愛いし、必死に取り繕うミクも可愛い。でも本当は独り占めしたい2人きりの時限定のめーちゃんの表情を、チラッとだけでもミクに見られちゃったことに対して、やり場のない嫉妬とか感じてると良い。めーちゃんの全ては俺のものなの! みたいなね(*´▽`)

これなんて誰得カイメイ+ミク萌え語り。いや俺得ですが。


そんなわけで出来上がったカイメイ+ミクな小話です。今回はめーちゃんがツンデレ気味。でもやっぱりうちのめーちゃんはツンデレデレデレくらいな気がします。甘いです。
妙なテンションで書いた妙な話ですが、それでもいいよって方は続きからどうぞ。
あ、最後にもう一回言わせて下さい。

(無駄にフルカラー



ティータイムの前は甘やかな


昼下がりのパソコンの中、ミクは真っ直ぐ家に向かっていた。本来は夕方までかかるはずだった収録が、思っていたよりもずっと早く終わったのだ。
今日は、リンとレンは外の仕事で昼前頃から出ているはずだし、ルカは朝からグミのもとを訪れていて夕方まで戻らないはずだ。そして、メイコとカイトは仕事がなくて家にいるはず。
つまり、この午後は本当に久しぶりにミクがメイコとカイトを独り占めできる時間になる、ということだ。
初対面以来すっかりグミと仲良くなって、今朝も照れながらも楽しそうに出発して行ったルカを思い起こして、少しだらしなく頬を緩めながら、ミクはこれから過ごすであろう穏やかな午後に思いをはせた。

普段はリンやレンの姉として、そして拙いながらもルカの先輩として振舞おうと、ミクはそれなりに気を遣ってきたつもりだ。けれどミクの本質はかつて兄姉にそう言われたように、いつだって甘えたがりなのだと、そうミク自身が自覚していた。

初音ミクはみんなのアイドル、だから外では一挙手一投足にも気を払い、多くのユーザーがそうであれと望むように振舞う必要がある。それはミクにとってはなんの縛りでもなく、寧ろそうして求められることが、それに応えることがミクの誇りであり、同時に生きがいの一部でもあった。

一方で、そういったものをすべてきれいに忘れさって、ただの甘えん坊の妹として、優しい姉と兄にべったりくっついていられる、しがらみも何もなくただ心地よいだけの時間も、ミクの宝物だった。
リンとレンが来た前後から、ミクだけでなくメイコとカイトも仕事続きになり、なかなか揃ってゆっくりとする時間が取れなくなってしまって、そうして姉の振る舞いを身につける必要も出てきた。それはとても喜ばしいことで、ミクも敬愛する2人の実力が認められて来たことはとても嬉しかったし、妹と弟がいっぺんにできたのも嬉しかったしで、その事態を歓迎したものだった。
しかしやはりそうなってくると減るのは甘えられる時間であり、最近はすっかりそんな時間もとれなくなってきていた。メイコやカイトにとってはなんてことは無いのかもしれなかったが、ミクにとっては割と一大事で、だから今日のように遠慮なく甘えられる日は、ミクにとっては非常に貴重なものだ。

家についたミクは、勢いよく玄関の戸を開くと、靴をそろえるのもそこそこに家に上がるとリビングの戸を開く。
そして「ただいま」のtの音を発音する前に静かに一歩引いて戸を閉めた。

たった今目にした光景にミクの胸は高鳴り、頬はかっと熱くなった。正直もっと見たいと思わないわけでもなかったけれど、それ以上にこのまま何事もなかったかのように階段を上って自室に引っ込んでしまいたい、という気持ちが大きかった。
ミクはメイコとカイトがお互いに好意を寄せ合っているらしいことはちゃんと知っていたし、なかなかくっつく素振りを見せない2人にやきもきしたりもした。
けれど実際にそれらしき様子を見てしまうと、なんとも恥ずかしくて、思わず目を逸らしたくなってしまった。

このまま引き返そうか、と本気で考えてから、ミクはしかし諦めたような溜息と共に1人首を横に振った。戸を開けた途端ばっちりミクを捕らえた深い青の瞳を思い出す。目が合った以上は、入らないわけにはいかないだろう。

2回、深く深呼吸。それから胸に手をあて目を閉じて、ミクは覚悟を決めた。

先程とは打って変わって、慎重にゆっくりと戸が開かれる。そこからミクの目に飛び込んできた光景は、先ほどと寸分違わぬものだった。
ゆったりとリビングのソファに腰掛けているカイト。その力の抜けきった表情は、普段からふにゃりとした表情を見せることの多い彼にしても、常に増して脱力しきっていて、いかにも自宅でくつろいでいるというふうだった。ミクはこの表情は見ていて非常に安心するので、情けないと思わないでもなかったが、わりと好きだと思っている。だから、そこには何の問題もない。

再びあった瞳ににっこりと微笑まれて、ミクは取り敢えず曖昧な笑みを返した。というか、それしか返せなかったのだ。おかえり、と柔らかな声音で紡がれる出迎えの言葉に曖昧に相槌を返しながら、ミクの視線はその声の主の膝もとに移動する。

そこには、普段通りのきりっとしたしっかり者の面影を残しつつも、安心しきった表情でその膝に頭を預けて穏やかな寝息を立てているメイコの姿。もともとはカイトの隣に座っていたのが、力尽きて寝てしまったようだ。優しくゆっくりとした動きで髪を梳くカイトの手の動きに愛おしさが溢れているようで、ミクは頬が更に火照るのを感じた。まるで恋人同士の様なごく自然な、しかし決して情熱的でも甘いだけでもない、周囲の人まで包みこんでしまいそうな優しい空気に、逆に中てられてしまいそうだった。

「今日は早かったね。上手く行った?」
「ふぇ? あ、ああうん」

柔らかなテノールの声に、ミクは急に現実に引き戻されて、思わず気の抜けた声をあげてしまう。それから我に返って、慌てて取り繕った。

「うん、そう上手く行ったんだよ。マスター、今日はたくさん褒めてくれたんだ」
「そっか、じゃあ今日はもうお休み?」
「そうなの!」

たくさん褒められたのは事実で、それをまるで自分のことのように嬉しそうに笑ったカイトに、ミクの胸は少し暖かくなるとともに、少し平静を取り戻した。よかった、いつもの兄だ、ということを確認できたせいか、先程の動悸が少しましになってくる。こうなってくるとやはり同じように喜んでくれたであろうメイコが気になるわけで、ミクはためらいつつも、大胆になったつもりでそれをそのまま口にした。

「あの、それでその、お姉ちゃんは、寝ちゃったの?」
「そうなんだよねぇ」

カイトは呆れたように苦笑して、大げさに肩をすくめて見せた。それから今日の天気の話をするかのような何でもないような口調で、状況を説明し始める。もちろんその間も、メイコの髪を梳くためにゆるゆると動く手を休めはしなかった。

「最初は一緒に音楽を聞いてたんだよ。そしたら眠くなって来たのか知らないけれど、こう、肩に頭をのっけてきたんだよね」

こう、と言いながら首を傾げるカイトの姿は、妹として見慣れているということを差し引いても、妙に様になっているというか似合っていて、ミクは思わず頬を緩めた。格好良い兄に憧れるレンなら顔を顰めたかもしれないが、正直家で一番の癒しになっているとミクは思う。
そして同時に、そこで初めて今もリビングでは控えめに音楽が流されていることに気がついた。静かな、けれど甘やかな旋律を織りなす弦楽協奏曲。その曲調が部屋の雰囲気を煽っていることは間違いないと、ミクは心の中で納得した。

「それで、動けなくなっちゃって困ってね、暫くはそのままぼーっっとしてたんだけれど、時間を確認しようとした拍子に落っことしちゃって」
「落っことした?」
「そう。それで肩から膝にぽてっと」

起きないんだからすごいよねー、とのほほんと笑ったカイトに、ミクもそうだねと笑い返しながら心中で呆れてしまった。
それでなんてこともないようにこの姿勢を続けているのだ、仮にも、思い合っているはずの男女が。
そんなミクの心中を知ってか知らずか、カイトがぽすぽすと自分横の辺りを軽く叩いた。一瞬カイトの意図を図りかねてミクは首を傾げたが、すぐに気付いた。どうやら座れと言いたいらしい。
カイトの膝枕で眠るメイコ、その隣に座る自分、という構図が脳裏をよぎって、そのあまりの居たたまれなさに、ミクは高いところでツインテールにしている髪がびしばしと壁や戸をはたくのにも構わず、ぶんぶんと頭を振った。邪魔はできないししたくもない。例え無自覚の当事者たちから招かれたとしても、自分が一番気まずいのだ。

「わ、私っ、あの自分の部屋で楽譜読みたいから集中して! あ、明日もマスターにほら褒められたいもん!」
「そう? あんまり根つめすぎないようにね」

咄嗟に考えたにしては上出来の口実だったとミクは自画自賛する。語順がばらばらになってしまったことを除いては、だが。少し残念そうにしながらも気遣ってくれたカイトに内心でほっと胸をなでおろしながら、それじゃ、とミクは素早く踵を返す。

一番最初、何も知らずに戸を開いて閉じた時と同じくらいの勢いで戸を閉めて、リビングの外に出たミクはずるずると壁に沿って腰を落とした。

「……もう、お兄ちゃんもお姉ちゃんももうちょっと自覚してよぉ」

口の中でもごもごとそう呟いた声は、壁越しならぎりぎりVOCALOIDの可聴領域外のはずだ。暫く無言で蹲って、結局返ってきた動機と頬の火照りを鎮めていると、メイコの表情が思い出される。ミクは部屋の中の雰囲気を思い返してほう、とため息をついた。

「でも、お姉ちゃんってあんな顔するんだ。」

安心しきった表情。常にキリっとしいて頼りになる姉の表情ばかりを追って来たミクにとって、初めて垣間見る姉の一面。カイトは割といつも通りだったようにも思えたけれど、どこか違うと思ってみればやはりいつもとは少し違う。普段は優しくてしっかりしていて、頼りになる姉と兄を、そこまで変えてしまう魔法。

「……恋をするって、いいなぁ」

ぼんやりと呟いてから、ミクは気を取り直して立ちあがった。それからちょっとリビングの戸を振り返って、しかし何もせずに階段を上り始める。

恋をするのは、羨ましいと思う。けれどあの2人には、早く自覚してほしい。
巻き込まれてやきもきする身にもなってほしいというものだと、ミクは何度目かの溜め息をついた。


◇ ◇ ◇


トン、トン、トンと階段を上がって行く足音を聞き届けて、カイトはそっと口を開いた。

「ミク、行ったみたいだよ。めーちゃん」

すると、先程とは打って変って不機嫌そうに顔を真っ赤にしたメイコがカイトの膝から身を起こした。そんなメイコの様子に、カイトはにっこりと意地の悪い笑みで笑いかける。

「自覚、しまくりだねぇ、めーちゃん」
「うるさいっ! 大体ミクが帰って来たってのに、あんたが頭押さえつけるからっ」
「うんうん。一生懸命顔が赤くならないように、できる限り自然に寝ているふりをしようと頑張るめーちゃんはとても可愛かったよ」
「~~っ!」

2階にいるミクに配慮して声を押さえて抗議したメイコは、カイトのきりかえしにぐっと言葉を呑んだ。反論しようと口を開いても言葉が出てくることはなく、結局無言でぼすぼすとカイトの肩を叩く。

「痛い、痛いよ」
「うっさいバカイト」
「よっかかってきて、膝枕まで甘んじたのはめーちゃんのくせに」

そう、ミクに話したことは殆ど事実なのだ。
最初は2人で一緒に音楽を聞いていて、それから不意にメイコが肩に頭をのせてきた。その行動は、カイトには本当に眠くなったかのように映ったのだ。もちろんそれが違うことにはすぐに気付いたが、その後時計を見ようとしてメイコを肩から落としてしまったのも本当。ただし故意に。
落とされたことにメイコは本当に驚いたが、してやったりと笑って見せたカイトに、自分から寄りかかっておきながら、自分から身を引くのは非常に悔しい気がして、そのまま甘んじて膝枕してもらっていたのだ。
それが本当に心地よくてうとうとしてしまったのは、メイコだけの秘密だが。

「だってこんなに、こんなに早くミクが帰ってくるなんて」

思わなかったんだもの、という言葉は段々尻すぼみになっていって、メイコは気まずそうに顔を背けながら遂には叩くのも止めてしまった。その様子があまりにも可愛すぎて、カイトは思い切りメイコの体を抱き寄せる。不意打ちを食らったメイコの体は、あっさりとカイトの腕の中に落ちてきた。

「ちょっと、何するのよ、離しなさいよっ!」
「もー、めーちゃんったら可愛いんだから」
「可愛くないっ! 大体ミクが降りてきたらどうすんのよ!」
「そしたら今度はいつも通でしょ。すぐ離れれば良いじゃん」

信用ならない、と睨みあげるメイコに、カイトは不意に目を潤ませて見せた。もちろんカイトはこの表情にメイコが弱いことを重々承知している。そしてカイトの目論見通り、メイコは目を見開いてあからさまにうろたえた。

「……それともめーちゃんは、俺とこうしているの、嫌?」
「こ、こういう時だけ一人称変えてるんじゃないわよ、ばか」

途端に睨んでいられなくなるメイコはとても可愛いと、カイトは胸の内だけでしみじみと満足げに笑った。ほんの少し潤み始めた紅茶色の瞳はそれきりカイトから外されてしまったが、かわりにこの時ばかりは雄弁に心情を語って見せる華奢な腕がカイトの背中に回されて、縋るように離さないようにきゅうと抱きしめ返された。

「嫌なわけ、ない……」

そうしてメイコがカイトの胸に顔を埋めてしまえば、カイトの側からメイコの表情を確認することはできない。けれど明るい茶色の髪の間から覗く耳が、熟れた苺のように真っ赤になっているのを見て、自然と頬が緩むのを禁じ得なかった。
カイトがそっと髪を梳いてやれば、その背に回された手に力がこもる。
暫くして、カイトの胸に顔を埋めたまま、メイコは口を開いた。

「ねぇ、後で、」
「うん?」
「後で、ミクと」

ミクと、の後の声はもごもごと布に吸われてカイトの耳には届かなかったが、カイトにはそれだけで十分だった。

「そうだね、久しぶりに3人でお茶でもしよっか」

耳元でそう囁かれて、思わず身をすくめながらもメイコはカイトの腕の中でこくりと1つ頷いた。その拍子にちらりと垣間見えた頬がまだ赤いままであることに気付いて、カイトは笑い含みで言葉を繋いだ。

「めーちゃんが落ち着いたら、ね」
「誰のせいっ」
「俺のせいだよー」

食ってかかった言葉にあっさりと悪びれもせずにかえされて、メイコは上げようとした顔を再びカイトの胸に埋めた。収まろうとしていた火照りが戻って来たことを自覚したメイコは、同時にカイトにもそれがばれているだろうことを悟って、ただただ黙しているしかない。

12の位置からもう大分角度を付けている時計の短針を眺めながら、3時のお茶の時間まではこのままでいいかな、とカイトは言葉にはせず1人頷くと、腕の中の愛おしい温もりをそっと抱き直した。

部屋の中の空気は、ますます糖度を増してゆく。
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