"> 解明Polka くだらなくもすばらしき日常 忍者ブログ
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某歌ロイドにはまった人がちまちま書いているようです。ブログ名で好きCPがわかる罠

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管理人はリンとルカを何だと思っているのでしょうか\(^q^)/
内容はタイトルの通り。
くだらないのは重々承知。あたまわるいのも百も承知。ただふっと湧いて書きだしたら引っ込みがつかなくなったのです。
こういうのはやっぱり家族特有のほのぼのさだよ!と言い訳してみます。

というわけで勢いに任せたなっとう家族小話。
CP要素ゼロです。姉兄というよりは母と父な気もしなくもないメイコとカイト。
書いている途中でメモ帳が保存不能になり、挙句の果てに応答しなくなった、管理人には因縁の話であったりもしますw

では、本編は続きからです。くっだらないですよ?w




我が家の食事の席はいつも和やかな雰囲気に包まれている。
この日もそうなるはずだった。
張り詰める空気、錯綜する視線、互いに互いの腹の内を読みあうこともしない率直な言葉の飛び交う戦場。
事の発端は、その日の夕食のおかずの一つとして並んだ……

なっとうせんそう

夕食の準備を終えたメイコが一声かければ、お腹をすかせた弟妹たちはわらわらとリビングに集まってくる。
料理好きであるメイコは、家族にはなるべく手作りのものを食べて欲しいと思っているから、時間がない日もできるだけおかずを作るようにしている。それでも夕方までしっかりと仕事の入っていた今日は準備にかけられる時間が皆無に等しかったので、いくつかそのままで食べられる物を帰りがけに買ってきた。

こういう日、カイトが居れば彼に全部任せてしまえるのだが、生憎と今日は夜まで仕事だ。夕食のころには帰ってこられると思うとは言っていたけれど、今日の仕事先は時間の遅延に定評のあるところだと知っている。
その分音楽に対する情熱は込められている、というフォローがお世辞でなくできるところなのだけれど、予定通りに収録が終わることはまずない。

案の定カイトはまだ帰ってきていなかった。

そしてほかのメンバーには、到底料理はさせられない。
ミクはネギばかり入れたがるから、気づけば料理というよりはネギそのものという状況に陥ってしまう。
リンは料理初心者だというのに作り方通りに作るということを嫌がって、途中で突飛な事を閃いては料理を台無しにして見せる。
ルカに調理をさせると、おかしな事はさせていないはずなのに、いつの間にやら良くわからない物体が出来上がっている。正直食べる勇気は到底湧いてこなかった。

唯一まともに料理ができるのはレンなのだが、彼がやるとなれば当然リンもやりたがる。
残念ながら今のレン1人ではリンのフォローは無理なのだ。

という訳で、こういう日は大抵出来あいのお惣菜などが食卓に上がる。そのお惣菜を買うために立ち寄ったスーパーで、偶然目に入ったのが納豆だった。
納豆はメイコの立てる献立にはちらりとも入ってこないくらい、メイコ達一家とは縁がない。
というのも、ミクが来てすぐのころに、ネギを丸かじりしている様子を見ていられなくて、ネギと合うだろうと納豆を勧めてみたところ、臭いのねばるのと見事な拒絶を受けたのだ。
ネギを丸かじりしておきながら臭いも何もあったものではないだろうとメイコとカイトは顔を見合わせたものだった。

……が、納豆は栄養もあるし一品あるだけでも立派なご飯のおかずになるすぐれもの。

インストールされて間がないミクにはカルチャーショックだったのかもしれないが、実際は好き嫌いは殆どしない子だから今なら食べられるかもしれないと、特売になっていたパックに手を伸ばしたのだ。


──それがまさか、こんなことになろうとは。


出した納豆を、ミクは少し抵抗を見せたものの、食べ始めてみれば美味しいと言いだした。
これで時間の無い時のおかずにも少し困らなくて済むとメイコがひとり頷いた矢先、リンとルカの間で口論が勃発した。
始まりは、レンの些細な一言。
どうやらリンレンルカの3人はどこか外で納豆を食べる機会があったらしく、抵抗なく食べていたのだが。

「……あ、オレもっと粒大きいやつの方が好きかも」

「えー?あたしはもっと粒小さいのが良いー!」

レンの言葉に反応して、リンもわざわざ手を挙げて主張した。
振り上げられた箸の先を途切れた納豆の糸がふわりと舞った。

「はいはい、わかったからリン、お箸は振り回さないでね」

「小粒ーっ」

「今度買ってくるわ。小粒もね」

「やったーっ」

特に深く考えずにメイコがそう答えると、リンはにこにこと返事をした。
そのメイコの一言に、ルカがぴくんと反応した。

「では、わたくしはひきわりが良いです!」

「私はこれがいいっ!」

ルカに続いたミクの言葉で、我が家では清々しいほどに納豆の好みが合わない事が判明した。
それに苦笑しつつ、メイコは答える。

「はいはい。みんな買ってくる……」

「ひきわりだとぅっ!?」

メイコの言葉が終わらないうちに、ガタンと音を立ててリンが立ちあがった。
びしっと端を持ったまま、向かいのルカに指を突きつける。

「形をとどめていない納豆なんて邪道!!」

「なんですって……?」

ふわりと舞う納豆の糸を気にも留めず、ルカは低い声を発した。
心なしか笑顔がひきつっている、というか、影が妙に濃い気がする。

「ひと手間かけたこの良さがわからないなんて……リンちゃんはまだまだお子様ですね」

にっこりと微笑んだルカの顔の背後に般若が見えるのではないかと思い、メイコは呆れを通り越して感心した。この子、こんな表情もできたのね。
対してリンは、笑っているというよりは口角を釣り上げていると表現した方が適しているような顔で、見下す様に腕を組んだ。

持ちっぱなしの箸は無造作な扱いに見えてリンの服には使ないように器用にコントロールされていて、ふわりと舞ってきた糸に隣のレンが少し顔を顰めた。

「納豆そのままの食感が良いんじゃない。硬すぎず、柔らかすぎず!」

「甘いですわね、その良さは認めますが、とろけるような食感と、ふわりと空気を内包するねばりには到底かないませんわ!」

そこからリンとルカは壮絶な口論を開始した。

食感がどうだの、風味がああだの、費用対効果がこうだのと変な方向に話が発展している。

ミクはルカの隣で困ったように笑っている。
どうも止めるか否かで迷い、そもそも止められる自信はないような気がしてしかも見ていて面白い、ただ時折がたんとテーブルが揺れるのが気になる、というところらしい。

対してレンはリンの隣だが慣れたもので、時折舞ってくる糸に僅かに顔を顰めるほかは、リンがルカを指差した時にやんわりと「人を指さしちゃダメだろ」と口をはさむくらいで、テーブルが揺れようが勢い余ったリンの手が頭をはたこうが落ち着いて食事をつづけていた。

暫く口論が続くと、ミクも色々と諦めたらしく、8割方がネギで構成された納豆を嬉々として食べている。
相変わらず煩いが、まあ平和な食卓なのかもしれないとメイコは1人納得した。

「ただいまー」

そこに帰ってきたカイト。玄関の音なら壁一枚向こうだから拾えるかと思っていたが、どうやら2人の口論の音量に負けてしまっていたらしい。おかえりなさいと声をかけると、ミクとレンと声が重なった。
思わず顔を見合わせたメイコ達にふにゃりと微笑んで、それから更に一拍置き、カイトはついにちらりとリンとルカに視線をやった。

「……で、これは一体何事?」

「見ての通りだよ」

「リンとルカちゃんが口げんかしてるの」

簡潔に言ったレンとミクに苦笑したカイトに、名前を呼ばれた事に反応したのかリンとルカが振り返った。

「あっ。カイ兄お帰り!」

「納豆はひきわりですわよね!?」

「いーえ小粒だね!!」

急激に詰め寄られて、カイトは何かを察したようだった。

「いや、そこは大粒でしょ」

「えっ?中くらいが一番だよね、お兄ちゃん!」

更に便乗したレンとミクに詰め寄られて、カイトは困ったように笑った。

「うーん、急に聞かれても……」

答えをせがむ4人の目は爛々ときらめいていて、何か末恐ろしいものを感じる。

「そうだなあ……僕は」

結論を持ってくるだろうその前置きに、4人がずいっと詰め寄った。気圧されたカイトは思わず一歩下がっている。

「納豆より豆腐が好きかな……なんて」

「ああお豆腐……最近買ってないわねー」

カイトの台詞に私はなんとなくそう返してしまったけれど、詰め寄っていた4人は一気にげんなり来たのが手に取るようにわかった。

「青いのに答えを求めたわたくしがばかでしたわ」

「カイ兄、ちょっとがっかりしたよ……」

「兄貴に決められるわけないもんなー」

「ご、ごめんねお兄ちゃん」

4人の言葉はそれぞれだったが、そのどれもがカイトには辛辣に響いたらしい。

追い詰められたその位置のままで呆然として立ちつくしている。

4人はと言えばそれで熱も冷めたらしく、さっさと席に戻ると残りのご飯を食べてしまい、それぞれに食器を運び歯を磨き、扉の前に居たカイトをやんわりとどけてリビングを出て行った。

「めーちゃん、僕何か悪いことした……?」

そのまま暫く静かなまま時間が過ぎて、のんびりと食べていたメイコが食べ終える頃、カイトは実に情けない顔でそう問いかけてきた。
今にも泣き出しそうなその表情に、一瞬しゅんと耳としっぽとを項垂れさせた仔犬が連想された。

「まあ、多分正解だったんだけれどねえ……」

適当にそう返すと、カイトは益々顔を歪ませる。
メイコは立ちあがるとカイトの傍に寄り、そっと頭を撫でてやる。

「明日は揚げだし豆腐でも作ってあげるわ。好きでしょ?」

そう言って笑いかけると、カイトは溜め息をつきつつも素直に頷いた。


情けないけれど、結果として口論は収まったし。
上出来だったんじゃないかしら?"お兄ちゃん"。
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