某歌ロイドにはまった人がちまちま書いているようです。ブログ名で好きCPがわかる罠
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前回復帰宣言したと思ったら見事にぶり返したよ!\(^q^)/
だからついカッとなってやった。
反省はしていない、後悔は物凄くしてるorz頭痛すぎる……!
という訳でぽるかです。ルカ様が風邪をお引きになったぞ者ども出合えー!!
というかこのネタ逆ver.とカイメイver.もあるんだぜ……!!
熱のお陰で変なテンションですすみません。
だからついカッとなってやった。
反省はしていない、後悔は物凄くしてるorz頭痛すぎる……!
という訳でぽるかです。ルカ様が風邪をお引きになったぞ者ども出合えー!!
というかこのネタ逆ver.とカイメイver.もあるんだぜ……!!
熱のお陰で変なテンションですすみません。
目を覚ましたその時には、あぁ、今日は駄目かもしれないという、妙な予感はあった。
けれどまさか自分がこんなに酷く体調を崩すなんて、思ってもみなかった。
恋しくなる熱
「ルカちゃん、どうしたの?顔色悪いよ!」
朝、部屋から出てリビングへ向かい真っ先に会ったのはミクだった。
おはよう、と声をかけてもミクは応えずに、代わりにわたくしの顔を見るなり顔面蒼白になって、そう言いながら駆け寄ってきた。
「ミクちゃん?」
ミクの慌てっぷりが不思議でたまらなくて、彼女の名を呼ぶことで尋ねたつもりだったけれど、ミクはそんなのお構いなしに額に手を当ててきた。
ひんやりとした手のひらが何ともいえず心地よくて、ゆるゆると目を閉じると、ミクの慌てた声が聞こえてきた。
「……あぁ、もう酷い熱じゃない。待っててルカちゃん」
その声に再び瞼を開くと、ミクはとうに踵を返した後で、長いツインテールが頭の動きに合わせてさらさらと揺れている。
先程のミクの声に反応して気遣わしげにこちらを見やっていたメイコに事情を話すミクを、何となくぼんやりとする視界で眺めていると、左右の肩くらいの位置からよく似た声が聞こえてきた。
「ルカ姉、どした?具合悪いのか?」
「バスターさんに診てもらう?」
いつの間にかやってきていた双子を視界に入れる為に、無意識の内に一歩下がる。案の定2人ともたいそう心配そうに見上げてきていて、あまりに予想通りのその様子に場違いなのはわかっていたけれど思わず苦笑が漏れた。
「取り敢えず熱、と……ウィルスかは判りかねるわねぇ。ルカ、プログラムのスキャンとかできそう?」
ミクからの説明を聞き終えたメイコが歩み寄ってきて、やんわりとした動作で双子を退けると、先ほどのミクとよく似た動作で額に手をあてる。
「スキャン……?」
言われた指示の内容がよくわからず聞き返す。
そうして混乱する思考の一方で、さっきのミクの仕草は姉譲りだったのだと、全く関係のないことに感心している自分もいて、思わず自身に呆れてしまう。
「そうよ。VOCALOIDも風邪を引くからね……ウィルスじゃなく。症状で区別つかなくてもスキャンすれば一発なんだけど……」
メイコの説明にゆるゆると頭を振る。残念ながら今まで一度も自分自身をスキャンする、ということはしたことが無かった。そもそもできる、ということが初耳だった。
「え、あたし達って自分のウィルススキャンとかできるの?」
同じように感じたらしく、リンがそうメイコに尋ねる。状況を鑑みてか普段からすれば随分と控えめな訊ね方だったが、それでも好奇心は抑えきれないらしい。
「ううん、スキャンした結果を見て、ウィルスにかかっているかある程度判断できるんだけど……」
困ったわね、とメイコは呟くが、その後すぐはっと顔を上げた。そうしてあっという間にホッとしたような笑みになる、コンマ1秒にも満たない動作だが、正面に居たのでしっかりと見てとることができた。
その視線がどうやら自分より後ろに向けられていることに気付いて、ようやく誰かが後ろに居ることに気がついた。
それと同時に目を塞がれた。
「はい、じゃあ軽くスキャンするから、不快かもしれないけど我慢ねー」
背後から聞こえた軽く場違いな間延びした声に、思わず反応が遅れて、一拍置いてがばっと振り返る。
予想通り、そこにはどこかのほほんとした空気の抜けないへたれた顔があった。ぱっと目を塞いでいた両手を広げたままのカイトに食ってかかる前に、口を開かれた。
「ん、ただの風邪だね。ウィルスではないから大丈夫」
目を塞ぐな、勝手にスキャンするな、ってスキャンするの早すぎるわよ。と、言いたいことはその一言の前に喉もとで止まってしまう。周囲でほっと安堵した気配に何となく毒気を抜かれてしまう。
双子やミクがカイトのスキャンに感心して、珍しく尊敬の眼差しを送っている。癪だが否定できない自分がいて、仕方がないので思いっきり青い瞳を睨みあげてやった。しかし帰って来たのはどうにもふやけた笑顔ばかり。
「まあ症状が軽くないのは変わらないけどね。威勢がいいのは良いけれど、今日は絶対安静ね」
言い渡された診断に大人しく従う以外選択肢がないのは、自分でもよくわかっていた。
と同時に、段々と身体から力が抜け、視界が霞んでいくことに気付いた。
傾いでいく世界と焦ったようなメイコやミクの表情を最後に、意識は深い深い闇に落ちて行った。
◇ ◇ ◇
ふと空気の動く気配に、意識がゆっくりと浮上するのを感じた。
目を開くと、映るのは見慣れた自室の天井。
おぼろげな記憶をのろのろと辿って、最後に暗転した視界を思い出してようやく自分が倒れたことを理解する。情けない自分に溜め息をつきかけたところで、枕元から聞こえたかちゃりという食器の触れ合うような微かな音を耳が拾い上げて、上体を起こせないまま視界だけを動かす。
「おお、ルカ殿……目を覚まされたか」
さらりと揺れて紫の軌跡を描いた長髪に一瞬意識を奪われて、それから傍らに居た人物を認識して条件反射で顔を顰めた。
あまりにもあからさまな反応に、その人、がくぽは苦笑した。
「またルカ殿は反応が素直というか、率直でござるなあ……」
「……なんで、貴方がここに?」
呟きを無視して訊ねた声は思いのほか擦れていた。
「カイト殿に頼まれたのだ。今日はたまたま仕事がなかった故、快く引き受けさせてもらったのでござる」
「そ、んな、貴重な休みでしょう?移ったら大変だし……」
事のあらましを聞いて、一番に口を突いて出たのはその言葉だった。
我ながら看病してもらっておいてよくこんなことが言えるなとは思うような冷たい口調になってしまい、少し後悔する。いくら気に食わない相手とはいえ、恩をあだで返すようなまねは望むところではなかったのに。
けれどがくぽはそれを大して気にとめた様子も見せず、逆に「心配して下さるのか?」と妙に嬉しそうな顔で返してくる始末で、なんだか却って引っ込みがつかなくなってしまう。
「別に、そう言う訳では……わたくしのせいで貴方に風邪を引かせてしまったら後味がわるいではありませんか」
「気遣っていただき光栄でござる」
「だから貴方の為じゃなくて……!」
この男、どこまで前向きなんだと反論しながら呆れてきたところで、ふわりと額にひんやりとした手が当てられた。手が冷たいのではなく自分が熱いのだと気付いたのは、その仕草が間違いなくメイコやミクとは違うものであるとぼんやりと考えた後の事。
なぜ今わざわざ大切な姉妹とがくぽを咄嗟に比べたのか、自分でも判らなかったけれど、大変残念なことにどちらも自分に対しての好意が行動に込められていることに気付いてしまって、不覚にも赤面する。
熱のせいでもともと頬は紅潮しているはずだから、それががくぽにばれるはずがないことだけが救いだった。
案の定気付かないがくぽは、手を当てた時と同じようにさりげない動作で額から手を離した。
「まだ熱は下がらぬな……ルカ殿、気分はいかがか?できれば食事をとって薬を飲んでほしいのだが」
「……しょくじ」
オウム返しに応えると、がくぽはにっこりと笑って手元を少し上げて見せた。
「卵粥でござる。僭越ながらお台所をお借りして作ってみたのだ」
「貴方が?」
「うむ。お気に召さねばまた別のものを用意するが……」
示された手を辿ると、確かに卵粥があった。しかもほかほかと湯気を立てるそれは悔しいことにとてもおいしそうだ。料理が苦手な自分が作ったらきっとこうはいかないと思うと、何となく自己嫌悪に陥りそうになる。
それでも弱った体は切実に栄養もといエネルギー源を求めていて、そんなわたくしの目にはその卵粥はとても魅力的に映った。
「……いえ、頂きますわ」
結局その一言を絞り出すのに、かなりの勇気と精神力を必要とした。
さらに、枕とクッションを総動員して、ついでに恥ずかしいことにがくぽに助け起こしてもらって、何とか上体を起こすことには成功したが、上手く手に力が入らなくて、レンゲを持つことが叶わない。
結果、がくぽに食べさせてもらうことになる。
しかし、悔しさやら何やらがあまりにも素直に顔に出てしまっていたのだろう、がくぽはとても心配そうな顔で気を使ってくる。
「……ルカ殿、本当に嫌なら無理をせずとも……」
「いいえっ、食べます!ええ食べますとも!」
「しかしそんな顔をされては」
「そんな顔ってどんな顔ですか!いいから食べさせてしまってください!」
強情に言い張れば、がくぽは仕方ないと言わんばかりに苦笑して、望みを叶えてくれた。
ご丁寧に少なめに掬った一口分を自分の口元でふうふうと冷ましてから、そっと口に運んでくれる。正直素直に口を開くのはとても恥ずかしいのだが、自分で頼んだ手前変に躊躇うのもおかしい気がして、素直に口を開く。
口の中に滑り込んできた卵粥はとても優しい味がして、見た目よりもずっと美味しかった。
「……おいしい、です」
思ったことが思わずそのまま言葉になって、慌てて口をつぐんでがくぽの様子を窺う。
がくぽは心底驚いた、という言葉をそのまま表情にしたら多分こうなるだろうという顔で一瞬固まって、それからふわりと笑った。
「おほめにあずかり光栄でござる」
その笑顔に、胸が高まる。熱のせいで、今の自分はどうかしているのかもしれない。
だから、自分が今日がくぽに甘えてしまうのは、熱でどうにかしているせいだ。
「……もっと、食べさせてください」
「大丈夫でござるか?」
「美味しいものは、あったかいうちに食べないと勿体ないですから」
いつもは居心地の悪いがくぽの傍が、今日は何故かとても安心できるのは、熱でどうにかしているせいなのだ。
鍋いっぱいだった卵粥が無くなるのが、惜しいくらいに早く感じたのもきっと。
◇ ◇ ◇
薬を飲んで落ち着いて、身体をまたそっと横にする。
ずっとがくぽに食べさせてもらっていたとはいえ、弱っていた体にはそれだけでも結構堪えたらしく、横になるとすぐに睡魔が襲ってきた。
鍋を置いてくると一度席を外したがくぽは、ついでにと言って水を張った器とタオルを持ってきたが、まどろんでいるのに気づいたのだろう、気遣うように声をかけてきた。
「眠られるのか?拙者はここに居ないほうがよいだろうか」
そんな質問をされて、心がざわついた。
確かに普段の自分のがくぽに対する態度から考えてみれば、そばに居るのが不快ととられても仕方ないだろう。実際彼の隣に居ると、落ち着かないし些細なことでも気になってしまう。
けれど今はとても人恋しくて、だからそう言われたのは妙に辛く感じた。
今、自分は風邪を引いているのだから、熱があるのだから。
──だから、きっとこの気持ちは仕方ないのだ。
そう自分に言い訳をして、口を開く。
「……いいえ」
掠れた小声の答えに、がくぽが目を見開いたのが気配でわかった。
瞼はもう重くて支えていられないけれど、代わりに敏感になった感覚が確かに傍に居る存在を全力で伝える。
──恋しいと思うのは、仕方ないのだ。
そっと手を持ち上げれば、ずっと大きな手が包み込むようにして受け止めてくれた。
安堵で頬が緩むのを感じる。
「そばに、居て欲しいです」
「……ルカ殿が、そう望むなら」
頷いた気配に小さく頬笑みをこぼして、誘い来る睡魔に身を委ねた。
最後に遠く、優しい低い歌声が聞こえた気がした。
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