某歌ロイドにはまった人がちまちま書いているようです。ブログ名で好きCPがわかる罠
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初書きカイメイ小話。恥ずかしくて穴掘りたいです。
だれか私にスコップとロードローラーを…!
まあ、つまり包容力のあるカイトさんは素敵ですよねというお話。
というかもともとはもっとほのぼのした内容になるはずだったんですが、うっかりカイメイmagnetを聴きながら書いたばっかりに糖分が増えていくという罠w
カイメイmagnetは本当に神だと思うんですが!
初書きなだけにつたない文章となりますが、それでも読んでやんよという奇特な方は続きからどうぞ。
だれか私にスコップとロードローラーを…!
まあ、つまり包容力のあるカイトさんは素敵ですよねというお話。
というかもともとはもっとほのぼのした内容になるはずだったんですが、うっかりカイメイmagnetを聴きながら書いたばっかりに糖分が増えていくという罠w
カイメイmagnetは本当に神だと思うんですが!
初書きなだけにつたない文章となりますが、それでも読んでやんよという奇特な方は続きからどうぞ。
「ただいま」
仕事が遅くまでずれ込んでしまったせいで、カイトが帰宅したのは0時を少し回った頃だった。
流石に年少3人とルカはもう寝ているようだったが、リビングからは明かりが漏れている。
(……めーちゃんかな)
そっとその扉を開けたカイトを迎えたのは、案の定酔いのせいかうっすら頬を上気させ、すやすやと気持ちよさそうに眠るメイコの姿だった。
2人はほぼ毎晩のようにささやかな晩酌を行っている。とはいえ実際呑んだり喋ったりするのはメイコで、カイトはアイスのカップを片手にそれに付き合うのだ。
翌日の仕事や家計の都合で、お互い手にとっていいのは1本と1カップまで。
僅かながら2人きりでのんびりと過ごす時間は、家族が増える前も後も変わらない穏やかな時間なのだ。
そして、どちらかが仕事で遅くなる日は、そういう約束をした訳でもないのに必ずもう一方の帰宅を待つようになった。
そういう時メイコは大抵、殆どお酒に手を着けずにテレビを眺めているか、逆にさっさと空けてうたた寝しているかなのだが――どうやら今晩は後者だったようだ。
安心しきった無防備な寝顔に、思わず顔が緩んでしまう。
カイトは出来るだけ静かにメイコに近寄り、緩く握られている缶をその手から抜き取る。「んー……」とメイコは声をこぼすが、起きる気配はなかった。
手に取った空き缶を流しで軽く濯いで置いておく。
それから改めて、カイトはメイコの隣に腰を下ろした。
そねまま頬杖をついて、その顔を観察する。端から見たら、見惚れると言った方が正しいかもしれないけれど。
普段は大人びた雰囲気のメイコも、こういう時の寝顔は幾らか幼く見える。端正な顔立ちの美人さんも、今は可愛い女の子。
ほんのり朱に染まる頬。合わされた睫毛は涙のせいか艶めいていて。
僅かに開かれた唇はふっくら柔らかそうで愛おしい。
さらさら流れる髪をそっと梳いているうちに、カイトは其処に吸い込まれるような錯覚を覚えた。触れたい、という思いに知らず知らず支配されていくような感覚。
そして、互いの唇が触れ合う寸前に我に返った。
(いやいやいや、僕は今なにを……)
ガタッと音をたて、カイトは派手に後ずさった。耳まで真っ赤になった己を自覚する。
(寝込みを襲うとか……最低だろ、僕)
無意識のうちの行動に軽くショート気味なカイトの前で、音で目が覚めたのか、メイコがゆっくり身を起こした。
寝起きのぽーっとした顔で、メイコは不思議そうに視線をさ迷わせる。そしてすぐに視界にカイトの姿を認め、一瞬瞳を見開いて、それからふにゃりと笑いかけた。
「おかえりぃ、かいとぉ」
酔っているのだろう、語尾がだらしなく伸びている。声音もどこか甘ったるく、潤んだ瞳は扇情的ですらある。
ソファの隅で不自然に顔を赤らめ固まっているカイトに、メイコは構わずしなだれかかった。
「ちょ、めーちゃんっ」
焦るカイトの制止などお構いなしに、メイコは満面の笑みでその腕に頬をすりよせる。
「えへへぇ、かいとだぁ」
「えへへじゃないよ、めーちゃん、ちょっと離れて?」
メイコが余りに幸せそうに笑うので、カイトは拒むに拒めず、行動を伴わない言葉は虚しく散っていった。
(――ま、たまにはいいかな)
早々に抵抗を諦めると苦笑まじりに心の内で呟いて、カイトは反対の手でそっとメイコの頭を撫でた。
普段はしっかり者のメイコが、こうして甘えてくれるのは珍しい。ならば、カイトも存分に甘やかさせて貰おう。
愛しい人に甘えられるのは、素直に嬉しい。
そっと撫でる手に、メイコは嬉しそうに頬を擦り寄せる。
上気していてほんのり熱いメイコの頬は、柔らかかく滑らかでとても触り心地がいい。
猫のように目を細めるメイコを眺めながら、カイトはふとお互いの顔が随分近くにあることに気がついた。
(――まるで、これからキスしようとしているみたいだ)
無意識にそこまで考えて、次の瞬間カイトは激しく頭を振った。無い筈の心臓が口から飛び出しそうな気さえする。
(いやいやいやさっきから何考えてるんだ僕は)
突然奇行にはしったカイトを、メイコは不思議そうな目で見上げる。上目遣いは卑怯だから止めて欲しいと切実に思う。
慌てて何でもないよと囁いて、そっと腕に力を込めメイコの頭を抱き寄せた。
こてんと肩口にかかる重みに、カイトはこっそり安堵の息を漏らす。
この状況とて色々と複雑な心境にさせられるとはいえ、潤んだ瞳で見上げられるよりは数段ましだと判断した結果だ。
腕の中に納められたメイコは、何故か緊張したように身体を強張らせたが、カイトがぽんぽんと頭を撫でてやれば、少しずつ身体から力が抜けて行った。
そのまま、ゆっくりと静かに、長いような短いような時間が流れて行く。
やがてメイコがうつらうつらと眠気に誘われるのを感じて、カイトはそっとメイコに声をかけてみる。
「めーちゃん、眠いならベットで寝ないと風邪ひいちゃうよ?」
優しい声に反応して、メイコはゆっくり顔を上げようとして、上げきれないまま腕だけを持ち上げる。その腕は、控えめにカイトの首元に回される。
「……抱っこ」
小さな声での命令に、思わず笑みがこぼれてしまう。
承知しました、お姫様。と悪戯っぽく囁き、腕をメイコの背中と膝の裏に滑り込ませる。
それから体を捻ると、ソファから立ち上がるのと抱き上げるのとを同時にこなす。多少無理やりな姿勢からになったが、危なげなくメイコを横抱きに抱きあげることに成功する。
カイトの腕にすっぽりと収まったメイコの体は羽のように軽くて、信頼して体重を預けてくれることが、カイトにはとても嬉しい。
なるべく揺れないようにと注意しながら、リビングの隣のメイコの部屋へと入りベットにメイコを降ろす。
もう何度も繰り返しているからか、妙に手慣れてしまった自分にカイトは複雑な気持ちになる。
とにかくこれにて任務完了、とカイトはいまだ首にかけられたままのメイコの腕を外しにかかる。
……が、いつもならするりと外れるはずの腕は、今日はなぜか外せない。
そうこうしている内に倒しっぱなしの不安定な上体を支えるのがそろそろ辛くなってきたので、カイトは取り敢えずメイコの身体の傍に両腕を降ろす。
何も考えるな何も感じるな心頭滅却と頭の半分で必死に唱えながら、困った笑顔を取り繕いカイトは口を開いた。
「あの、メイコさん?手、放してもらえませんか?」
「……やだ」
「……あの」
「……ぎゅってしてて、欲しいの」
頑なにほどかれない腕と、伏し目がちな表情で小声に伝えられたお願いに、カイトはあっさりと降伏することを決めた。経験上、こうなったらもう逆らうのは不可能だと知っている。
「じゃあ、お邪魔します」
片手で肌がけを探り当てると、メイコの隣に横になり、自分たちの上にかける。
それから、苦しくなるほど強すぎないように、けれど不安になるほど弱くもないように愛おしい人を抱きしめる。
ふわりと鼻腔をくすぐるのは、アルコールとやわらかな彼女自身の匂い。
腕のなかの華奢な体が大切で、控えめに背中にまわされた腕が愛おしくて、そういう気持ちを全部込めて、カイトは「おやすみ」と囁く。
その言葉にメイコは安心したように囁き返してきて、そっと瞳を閉じた。
本当に稀に訪れるこの状況。役得なのか生殺しなのかはカイトには判断しかねる。
ただわかるのは、こういうときのメイコは、その気丈な心さえ折ろうとする不安や寂しさを抱えていること。
理由は絶対に言わないから、問うこともしないけれど、せめて傍にいることでそれを和らげられればと思う。
(あのねめーちゃん、気づいてるかな)
(酔っている時の君は、絶対に抱き寄せられただけで緊張したりなんかしないんだよ)
(お願い事をするときは、潤んだ瞳が武器になるってわかってるから、絶対目を逸らしたりしないんだよ)
自然と頬が緩んでしまう。これでは弟妹達に変態と呼ばれても仕方ないかもしれない、とぼんやり考えたところで、カイトの思考回路にも靄がかかってくる。
(おやすみ、めーちゃん。良い夢を)
翌朝、珍しく普段は早起きな兄と姉が寝坊したのを起こしに来たミクに発見されて。
芋づる式に家族全員に知れ渡ってからかわれてひと悶着起こるのは、もう少し後の話。
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